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キュービクル式高圧受電設備は、発電所から高圧で受電した電気を低圧に変換する変圧器を内蔵したもので、変電設備としてよく利用されています。キュービクル式高圧受電設備の内部にはトランスやコンデンサ等の変圧機器を設置し、変電を行っています。
発電所から送られてくる6,600Vの電気をキュービクル式高圧受電設備が家庭用の100Vや200Vに変換することで、電気を日常的に使えるようになっています。主に商業施設や工場、学校やオフィスなど変圧が必要な施設に設置されています。
キュービクル式高圧受電設備にPCBが含まれているかを判別する方法は、その内部にあるトランスやコンデンサのPCB含有の判別方法と同じになります。
基本的に製造年月日を調べ、トランスやコンデンサの製造にPCBを使用していた当時のものであれば、PCBが基準以上に含まれているかを知るために分析します。1954年~1972年までの間に使用されていたため、キュービクル式高圧受電設備の製造番号を確認できれば、PCBが含まれているかどうかが確認できます。
日本電気工業会では、PCBが含まれている電気機器を確認できるリストを公開しているため該当するかどうかをチェックしてみましょう。
キュービクル式高圧受電設備の内部にあるトランスやコンデンサに低濃度PCBが含まれていると判別されたなら、国の認定又は都道府県の許可の処理施設で処分することになります。
処理には低濃度PCBが含まれるキュービクル式高圧受電設備の収集・運搬も許可を有する専門業者が必要になります。PCBが含まれているかの分析から処理場に運搬するための諸費用なども含めた処理費用を見積もってもらい、納得できる業者にお願いするのが良いでしょう。
ここでは、キュービクルからPCB含有機器が発見された事例についてご紹介します。
電気保安法人が管理システムデータの総チェックを実施したところ、使用中のキュービクルから高圧コンデンサが発見されました。
このキュービクルは確実な品番確認をしないまま「高濃度PCB含有なし」と判断されたもので、管理システムにもそのように登録されていました。
ある事業者が発電機の処分を電気保安法人へ依頼したところ、建物の裏手の使用していないキュービクルから高濃度PCB含有の変圧器とコンデンサを発見しました。
事業者がPCB含有機器を把握していなかった原因は、電気保安法人の担当がキュービクルの情報を異動時に後任担当者へしっかりと引き継がれていなかったことです。
このように、伝達ミスやデータ記入ミスによって新たにPCB含有機器が発見される事例は少なからず存在します。
キュービクル式高圧受電設備のPCB処理の費用は、キュービクル式高圧受電設備に含まれるトランスやコンデンサの種類や量、処理の工程等の様々な要素で変化します。
処理の方法や持ち込み料金や手続き諸費用などが発生するところもあるので、比較しながら検討すると良いかもしれません。いくつかの低濃度PCB処理施設に問い合わせてみるとよいでしょう。
濃度PCBが検出されたキュービクルの場合、JESCOで廃棄処理をするように指定されていますので、そちらも料金を確認したうえで処理を依頼しましょう。
低濃度PCB処理の依頼先を決めるとき最も重要視するのは、PCB処理業者の信頼性ということができます。
なぜなら、PCB含有物の処分をPCB処理業者に委託したとしても、適切な処分完了までの責任は、委託した企業にあるからです。そのために、委託が完了したことの通知がくるまで監督責任が生じます。
このように、低濃度PCB処理業者の選択は、大きな責任があるために、処理業者の信頼性や財務体質までを考慮して選択することが必要になります。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い