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家電製品にPCBを含むコンデンサなどの部品を使用することは法律で禁止されていますが、禁止される以前の1953年(昭和28年)~1972年(昭和47年)8月末までに製造された一部の家電製品はPCBを含有している可能性があります。
家電製品へのPCBの使用量は800トン程度で、国内の総使用量の1.8%と少なく、さらに製品単位の含有量も微量とのこと。製品の耐用年数などを考慮し、現在も各家庭で保有されていると推計される数は540トン程度。PCB含有の可能性がある家電製品の95%程度を冷暖房設備・電子レンジ・テレビの3品目が占めているとされています。
上記の家電製品には、PCBを含浸させたペーパーをアルミ箔で重ねて巻き、さらにアルミ板・鉄板などで外側を覆って密封した閉鎖型のコンデンサが使用されています。製品のキャビネットなどの内側にビスなどで固く締めて取り付けられていたため、家電製品として使用中にPCBが空気中に漏れたり発散したりすることはなく、環境汚染の心配はないとのことです。
家電製品にPCB含有部品が使われていないか判別する方法としては、家電機器に取り付けられた銘板の情報から製造年を確認しましょう。家電製品に使われているコンデンサ等のように絶縁油の入れ替えができない絶縁油封じ切り機器は、1991年(平成3年)以降に製造されたものであればPCB汚染の可能性はないとされています。
1991年(平成3年)以前に製造されている場合はコンデンサ等を取り外して絶縁油を採取し、PCB濃度を測定したうえでPCB汚染の有無を判別します。絶縁油封じ切り機器は絶縁油の採取のために穴を開ける必要があり、その後は使用できなくなるので注意しましょう。
PCB含有家電を廃棄するまでの流れの例として、東京都港区のPCB使用部品を含む廃棄家電製品の処理要領を紹介します。
※引用元:港区「PCB使用部品を含む廃棄家電製品の処理要領」https://www.city.minato.tokyo.jp/reiki/reiki_honbun/g104RG00000783.html
※引用元:港区「PCB使用部品を含む廃棄家電製品の処理要領」https://www.city.minato.tokyo.jp/reiki/reiki_honbun/g104RG00000783.html
一般的な家電製品であれば市町村が収集・運搬および処分を行いますが、家電に含まれるPCB廃棄物についてはメーカーに保管・処理責任があります。そのため、PCB使用部品を含む家電を廃棄する際は、メーカーが事前にPCB使用部品の取り外しを行わないといけません。
除去したPCB使用部品の処理は、環境大臣の認定を受けた無害化処理認定業者または都道府県・政令市の長の許可を得た民間の処理業者に委託します。処理されるまでの間はメーカーが保管する必要があり、適切な保管・処理を行わなかった場合はPCB特措法・廃棄物処理法の処罰対象になることがあるので注意しましょう。
除去したPCB使用部品を処理するには、専門の業者に委託する必要があります。処理されるまでの間はメーカーが部品を保管する必要があるため、処理期限や保管コストの点から考えると、処理をスムーズに進めてくれる処理能力の高い業者を選ぶのがおすすめです。調査分析から最終処理まで一貫して対応してくれる業者なら、処分を完了させるまでの各工程で業者を選定する手間がかかりません。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い