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安定器とは、蛍光灯などの放電ランプの電流が増え続けるのを防ぐために必要な装置です。電源とランプの間に抵抗を入れて、電流を一定の値に保ち、発光や明るさを安定させる役割を持っています。
現在製造されている安定器には、もちろんPCBは使用されていませんが、1972年(昭和47年)以前に製造された安定器にはPCBが使用されているものがあります。
PCBが使用される安定器を発見したら、管轄する行政へ届出を行った上で、保管基準に従って、処分するまで適正に管理しなくてはなりません。
安定器にPCBが使用されているかどうかを判別するには、安定器の銘板に印刷された「三角逓番号」を確認します。
三角逓記号(逆三角の中に〒が記された記号)の横に続く数字が「61-○○」となっている場合、右側の数字が4742以上であればPCBは使用されていません。
1から4741までの数字のとき、PCB不使用安定器の番号一覧に載っていないものはPCBが使用されていることになります。
また、PCB不使用かどうかはメーカー、型式・種別、性能(力率)、製造年月からの判別もできます。詳細は各メーカーへ問い合わせるか、一般社団法人「日本照明工業会」のWebサイトを参照しましょう。
安定器の分解は原則禁止ですが、廃安定器が「コンデンサ外付け型安定器」で、形状・性状に変化がないと目視確認できる場合のみ、取り外したコンデンサは高濃度PCB廃棄物、残部材は低濃度PCB廃棄物もしくは産業廃棄物として処理できます。
詳しくはPCB廃棄物の掘り起こし調査を実施している各自治体へ相談しましょう。
安定器のPCB処理費用は処分量によって異なりますが、一般的にPCB処理費用は高額です。
ただし、廃安定器を保管している場合、高濃度PCB廃棄物でないものを取り除くことによって、処理費用を軽減できる可能性があります。
費用を抑えたい場合は、許可を得た上でJESCOへの「搬入荷姿登録」の前に分別等の作業を実施して見るのも一つの手です。
PCB廃棄物を所有する事業者は、最終処分までの責任を負わなくてはなりません。もしも依頼した業者が不適切な処理を行ってしまったときは、依頼した会社の責任になります。
コストを抑えたい気持ちはわかりますが、費用の安さばかりに目を向けず、リスクを踏まえた上で依頼先は慎重に選定しましょう。
処理費用の見積が適正かどうかは、自社からの収集・運搬、最終処分までのルートを考えた上で判断するようにしてください。
PCBが含有されている安定器を処分するとして、安定器の内部に含まれているPCBを先んじて抜油したとしても、まだその残存物が付着している状態では安定器はPCB汚染物となり、PCB廃棄物特別措置法の規定に則って適切に処理されなければなりません。
ここでは抜油後の安定器や部材の処理方法として向いている一例を解説します。
機械化学分解は「メカノケミカル反応」という、機械的エネルギーと化学反応の複合的作用の原理を使ってPCBを処理する方法です。密閉容器へ有機塩素化合物や生石灰といった試薬などと一緒に入れて、塩素と生石灰の反応によって生じた塩化カルシウムなどを回収・除去します。
機械化学分解は金属くずや繊維くず、紙くずなどのPCB汚染物に適しています。
処理対象であるPCB汚染物に千数百度以上の熱を与えることで、処理対象物を溶融させて分解する処理方法です。安定器などのPCB汚染物の他にも、溶融分解はPCB汚染土壌やPCBに汚染された木くず、紙くず、廃棄プラスチックなどに幅広く利用されます。
有機化合物は分解・ガス化され、無機物はガラスや金属の個体として残ることも特徴です。
安定器を分解して各パーツに分けた後、それぞれを洗浄液となる溶剤によって洗浄し、PCBを洗い流して除去するという方法です。洗浄で回収された部材は条件に応じてスクラップ品としてリサイクルに活用できる他、処理後の洗浄液を回収してPCB除去処理を施すことにより、再び洗浄液を洗浄処理に用いられるという特徴も見逃せません。
分解したり洗浄だけで細部まで処理が難しかったりする機器やパーツなどの場合、真空加熱炉に処理対象物を入れて高温にすることで、PCBを蒸発・気化させて分離するという処理方法も採用されます。
複雑な電気構造物にも利用できる上、PCBは再び液化した上で回収され、化学反応によって無害化処理されるという工程です。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い