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PCB廃棄物は適切かつ早期の処分が推進されているものの、処分には多額の費用がかかります。しかし処分費用に影響され、PCB廃棄物の処分が遅れてしまうことは避けなければなりません。また、いくら保有事業者が適切な処分を行ったとしても、処分費用に圧迫され事業の運転資金が無くなってしまうケースは避けなければなりません。
そこで国では、PCB廃棄物の処理にかかる費用を軽減する制度や融資制度を設けました。
ここでは、PCB廃棄物処理の支援制度「中小企業者等の軽減制度」「LED照明導入促進事業」「財政投融資」について紹介します。それぞれ補助内容や対象が異なるため、しっかりチェックしておきましょう。
国や自治体では、PCB廃棄物の適正処理を推進するために、中小企業や個人に対してさまざまな支援制度を導入しています。利用できる支援制度がないか確認してみましょう。
JESCOにおいて処理する高濃度PCB廃棄物(トランス類、コンデンサ類、PCB油類、安定器等・汚染物、保管容器)を対象に、処理費用を軽減してくれる制度です。助成するための基金のうち、各都道府県が「PCB廃棄物処理基金」をJESCOに拠出しています。この支援制度を利用することで、高濃度廃棄物の処理にかかる費用の一部を助成してもらえます。
令和6年度適用の内容として、令和6年3月31日時点で北海道と東京エリアにおける安定器等汚染物についての計画的処理完了期限を迎えており、以後は変更済みの軽減率が適用となる点に注意してください。
【中小企業者】
主たる業種※2 | A.資本金又は出資の総額 | B.常時使用する従業員数※3 |
---|---|---|
製造業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業・情報処理・サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
中小企業団体の基準 |
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中小企業団体の組織に関する法律に規定する中小企業団体(事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合及び商工組合連合会) |
特別の法律によって設立された組合又はその連合会であって、その直接又は間接の構成員の2/3以上が表1のいずれかに該当する者であるもの(農業協同組合、漁業協同組合等) |
※2 業種は直近の決算書で最も売上の大きい部門により判断します。(例:前期決算において製造部門よりもサービス部門の売上が大きい場合にはサービス業として判定します)
【法人(会社、中小企業団体等を除く)】
※例えば、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人は、設立根拠法によりサービス業に該当するため、常時使用する従業員の数が100人以下の法人が対象になります。
※3 常時使用する従業員の数は事業者としての全体の数字です。事業場(支社、工場等)のものではありません。(例:処理対象物を保管する工場の常時使用従業員数が基準の数以下であっても、本社及び他の工場等の従業員数の合計が基準の数を上回っていれば対象外となります)
【個人】
正式な名称は「中小企業等におけるPCB使用照明器具のLED化によるCO2削減推進事業」。一般財団法人 栃木県環境技術協会 補助事業部が執行団体となって支援する補助制度です。
PCBを使用した照明器具からLED照明器具への交換を支援し、PCB廃棄物の早期処理の促進とCO2排出抑制を目的としています。 なおLED照明器具へ交換する工事費等だけではなく、PCBを使用している照明器具の調査費用も対象です。
なお、当補助金の執行団体については2022年5月現在「審査手続き中」となっています。令和3年度分については一般財団法人 栃木県環境技術協会 補助事業部が執行団体として募集を行っていました。過年度分については同団体が責任業務を継続しますが、令和4年度以降については環境省の情報をご確認ください。
東日本地域(北海道・東京事業エリア)の中小企業等のうち以下の業者
正式な名称は「中小事業者のPCB廃棄物処理に係る運転資金の低利融資制度」。PCB廃棄物を保有する中小企業者が、高濃度PCB廃棄物や低濃度PCB廃棄物をJESCOや無害化認定施設等で処理する場合に長期運転資金を融資するものです。
処理にかかる費用の軽減や補助ではなく、処理費用によって事業に必要な資金が圧迫された中小企業に対し、事業継続のための運転資金を融資してくれます。
この制度での支援は日本政策金融公庫が担っており、返済期間は7年以内(据え置き期間2年以内)となっています。
なお、融資の際の担保設定の有無や担保の種類などは相談によって決定します。
申し込みについては、直接貸付の場合は日本公庫各支店の中小企業事業の窓口、代理貸付の場合は日本公庫中小企業事業の代理店の窓口から申請できます。
PCB廃棄物を自ら処分する方または処分を委託する中小企業者等
基準利率1.16%~(令和6年8月1日実施)
※ただし、高濃度PCBの処分については特別利率0.70%~が適用されます。
※5年経過ごと金利見直し制度も利用できます。
微量PCB含有電気機器に該当するかを確認するため試料採取や分析に係る費用のほか、微量PCBに汚染された絶縁油や電気機器の処理に係る費用を補助してくれる制度です。
分析経費・処理経費ともに令和8年3月31日まで申請を受け付けていますが、単年度ごとの予算管理を行っているため年度途中で受付を停止する可能性があります。そのため、申請する場合は早めに手続きを行いましょう。
また2024年8月9日時点で、関連する支援制度に変更がありました。
環境省による「PCBに汚染された変圧器の効率化によるCO2削減推進事業」が開始されており、分析費については東京都が実施している助成事業との併用が認められていないため、どちらの制度を利用するのか十分に検討するよう注意してください。
個人、中小企業者、中小企業団体、管理組合法人など
低濃度PCB廃棄物及び使用製品の判別のため、PCB濃度分析に係る費用の一部を補助してくれる制度です。対象機器は変圧器やコンデンサーなどがあります。
令和6年度の申請については一次期限と二次期限がそれぞれ以下のように定められているため、申請期限に間に合うようきちんと申請書の提出期限を踏まえた上で計画を進めるようにしてください。
個人、中小企業者、中小企業団体、中小法人、職員数100人以下あるいは申請直近年度以前の3カ年の財政力指数の平均値が 0.2 以下の中小規模市町村など
PCBを含有しているか製造者から確認をとれない機器について、PCB分析・試料採取・試料運搬に係る委託料の一部を補助してくれる制度です。予算の範囲を超えると募集を終了してしまう可能性があるため、早めの申請がおすすめです。
※同事業に関しては、令和6年1月31日をもって令和5年度分の受付が終了しており、その後に令和6年度分の新規募集については受付等の案内が行われていません。新規申込みなど制度についての詳細等は担当課である「福島県産業廃棄物課」へ直接にお問い合わせください。
福島市・郡山市・いわき市を除く福島県の区域内に対象機器を保管・所有している中小企業者、個人事業主、中小法人、中小企業団体、個人、破産管財人など
【中小企業者等の軽減制度】
独立行政法人環境再生保全機構が運営するPCB廃棄物処理基金及び国からの国庫補助金による軽減制度。高濃度PCB廃棄物の処理費用と収集運搬費用の一部を補助してもらえます。安定器等や汚染物などのPCB廃棄物が対象。
【財政投融資】
PCB廃棄物を自ら処分または処分を委託するために必要な長期運転資金を融資してくれる制度です。建物等の更新に伴い一時的に施設等を賃借するために必要な資金も含まれます。返済期間は7年以内(うち据置期間2年以内)。
【中小企業者等軽減制度】個人、中小企業者、中小企業団体等、法人など
【財政投融資】PCB廃棄物を自ら処分する方または処分を委託する中小企業者等
【中小企業者等軽減制度】
【財政投融資】
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い