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日本では昭和29年から製造が開始されたPCB。しかし昭和43年に発生したカネミ油症事件をきっかけに、昭和47年にはPCB使用製品の製造中止と回収が決定しました。そしてPCB特措法で定められた期限内にPCB廃棄物を処理することが義務付けられています。
海外においても、PCBはDDTやダイオキシン類などとともに代表的な残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)として認識されています。POPs条約ではPCB廃棄物を期限内に適正管理することが定められており、日本と同様にPCBの適切な処理を進めている状態です。
PCBなどの残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)が2004年5月に発効。ストックホルム条約ではPCBの「2025年までの使用の全廃」と「2028年までの適正な処分」を求めています。日本では2002年8月にこの条約に加入しており、一定期限内でのPCB適正処理に向けて取り組んでいます。
PCB廃棄物処理事業評価検討会が示したデータによると、国土面積あたりのPCB使用量が多い国は、スイスに続いて日本、EUとなっています。このことからも、日本における適正なPCB処理が重要であることがうかがえます。なお、日本は海外に比べてPCB処理基準を厳しく設定しており、高温焼却処理などを実施しています。
たとえばカナダでは、1985年にオンタリオ州Smithvilleにおいて保管中のPCB入りトランスからPCB汚染油が漏洩していたことが判明。土壌や地下水の汚染、家畜や農業への被害を合わせると数十億カナダドル(1,000億円以上)もの被害が出てしまったそうです。
また、PCBが漏えいしたために町の水道を閉鎖しなければならず、整備にも多額の費用がかかっています。さらに汚染された地下水が将来的にどのような影響をもたらすかに注目する必要があり、汚染物質の移動状況の把握や除去方法について課題を残している状況です。
1988年8月23日、ケベック州St.Basile-le-Grandにて、PCB含有トランスを保管しているビルで火災事故が発生しました。周囲へ影響を与えたPCBは16万リットルにもおよび、火災現場から40km以内の住民の避難や現場近隣600haで作られていた農作物の出荷禁止などが発生。健康被害や移転コストは50百万カナダドル(約40億円)ほどになったのだそうです。
この事故を受け、連邦政府ではすべての州を対象に、適切なPCB廃棄物の保管方法の勧告と安全措置の実施を義務付けました。
ベルギーでは、1999年、コミュニティで食用油を回収し家畜用飼料をつくるためのリサイクル工程において、50~100リットルものトランス油が混入しました。その結果食肉汚染が発生し、汚染の恐れのある製品を回収・処分する事態に。多くの廃棄物が発生したことにより、約3万トンもの廃棄物を保管する場所が必要となりました。
この事故をきっかけとしてベルギーでは新たな組織を設立し、資料や食料のPCBモニタリング・食用油や死亡した家畜の飼料への禁止・PCB廃棄物の処分強化を実施しています。
日本に限らず、海外でもPCBの有害性は認識されています。
たとえばアメリカやカナダではPCBおよびPCB含有油の処理基準を2mg-PCB/kgに設定。フランスやオーストラリアでは50mg-PCB/kg、イギリスやドイツでは10mg-PCB/kg、オランダでは1mg-PCB/kgとなっています。
日本では0.5 mg-PCB/kg以上をPCB廃棄物として処理を進めていますから、世界のなかでも日本はPCB基準が厳しいことがわかります。
PCB汚染物を有する各国では、それぞれが基準や規則を定め、適正なPCB処理を推進しています。そこで、米国などの取り組み例を紹介します。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い