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ここでは、PCB処理に関するよくある質問のうち、廃棄物の処理および手続きに関する内容をピックアップし、Q&A形式でまとめています。
低濃度のPCB廃棄物の処理は、環境大臣もしくは都道府県などから認定を受けた民間の処理業者・運搬業者に処分を委託しなければなりません。
認可を受けた業者であっても処理できるPCB廃棄物に制限がありますので、事前に業者に確認することをおすすめします。
なお、高濃度のPCB廃棄物については、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)に処理を委託する必要があります。
高濃度PCB廃棄物の場合、各種届出から処分完了までに最低でも6ヵ月程度はかかるといわれています。とくに申請書類手続きなどの事務手続きに時間がかかる可能性があります。そのため、期限内の処理完了に向け早めの行動が大切です。
また低濃度PCB廃棄物の処分に関しては、処理業者によって処理完了までに必要な期間が異なります。依頼する業者に直接問い合わせることをおすすめします。
これから建物の売買を行うのであれば、契約前に変圧器やコンデンサといったPCB使用製品が設置されていないか確認してください。
もし設置が確認されたら、電気事業法及びPCB特別措置法に従って手続きを行わなければなりません。なお、設置されているPCB使用製品が使用中の場合、売主が廃止届出、買主が再度設置等届出をする必要があります(承継を除く)。
安定器内のコンデンサは外部からなんらかの力を加えることで破損する可能性があり、PCBの漏洩を招く危険性があることから、解体作業など安定器の形状を変える行為そのものが法律で禁止されています。
例えば同一の場所に保管されていて銘板が読み取れた安定器と形状が一致していれば、PCBの使用不使用についてその機器と同じと判断しても問題ありませんが、同一と判断できない場合はPCB使用安定器として認可を受けた業者に処理を委託してください。
保管容器内でPCB油が漏洩している場合は、業者が処分を行います。ただし、漏洩の状態によっては処理できない場合もあるため、事前の確認を受けてください。
なお、保管容器が規定のものに該当しない場合は運搬できませんので、業者側でPCB廃棄物を取り出すことになります。また、PCB油が床面に漏れ出した場合は、その範囲の除去作業が必要になる場合があります。
PCBが地面や水中に漏れた場合、まずは事故発生場所から速やかに人を退避させましょう。PCBの拡散範囲や飛散量を確認し、換気や安全性に十分気をつけたうえで汚染除去作業を行います。
もしもPCBが人体の口や眼や皮膚に付着した場合は適切な応急処置を行い、医師の診察を受けることが大切です。PCB漏洩などの緊急時には人命を第一に行動し、関係機関への通報・連絡も行いましょう。
なお、PCB油がコンクリート床などに漏洩した場合は汚染された範囲の床材を除去し、PCB汚染物として保管する必要があります。がれき類のPSB付着の程度については、環境省の通知「低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について」に示された内容に基づき測定します。
届出内容の氏名および連絡先の公表については、情報公開によって国民の健康および生活環境の保全のために必要であるという観点から、特別措置法第9条に基づいて原則すべて公表されます。
届出は機器ごとではなく、全てを処分した際に行えば問題ありません。同様に、今回処分の届出を行う際に、以前処分した機器について記入する必要はありません。
届出書に未使用だったいわゆる「PCB非該当機器」も含め全ての機器を記載のうえ、改めて非該当となった旨の記載および根拠となる資料を提出してください。非該当機器として届出を行えば、翌年以降の記載は不要となります。
PCB廃棄物の保管状況の届け出は、PCB廃棄物特別措置法第8条において毎年の届け出が義務付けられています。これは保管状況の変更の有無に関わらず、必ず毎年保管状況を届け出なければならないということです。
PCB廃棄物は保管していたはずが紛失していたり行方不明になっていた…というケースもあり、適切な早期処分はもちろん、保管状況を定期的に確認することが大切です。違反行為には罰則も設けられていますので、面倒でも毎年の届け出を行いましょう。
PCB廃棄物の譲り渡しや譲り受けは原則としてPCB廃棄物特別措置法で禁止されています。ただし処分期間を過ぎていないPCB使用機器であれば、その時点では廃棄物には該当せず、使用や譲渡が認められています。
たとえば高濃度PCBを含む電子機器の場合、処分期間は令和3年3月末まででした。そのため、処分期限以降に保持している場合はPCB廃棄物を保有していることになりますので、譲り渡しや譲り受けができないのはもちろん、使用中であったとしても直ちに処分する必要があります。
一方、低濃度PCBを含む機器については処分期間が令和9年3月末までです。処分期間内であればそのまま機器を使用したり、他者へ譲渡することも可能です。ただし処分期間内での処分が必要なため、処分計画を立てましょう。
PCB廃棄物の譲渡や譲受は原則として禁止されています。PCB廃棄物を保管している場所の土地や建物が売買された場合でも、PCB廃棄物の保管事業者が買い主に移行するわけではありません。
ただし以下の場合は例外としてPCB廃棄物の譲渡・譲受が認められています。また、「保管事業者が確実かつ適正にPCB廃棄物を保管することができなくなった」と都道府県知事によって認められた場合にも譲渡・譲受が可能です。
なお、PCB廃棄物を譲り受けた場合は、譲り受けた日から30日以内に様式第8号による届け出を都道府県知事に提出する必要があります。
PCBの処理技術としては高温焼却が挙げられますが、脱塩素化分解・水熱酸化分解・還元熱化学分解・光分解・プラズマ分解・機械化学分解・溶融分解・洗浄・分離なども処理技術として認められています(平成27年10月時点での情報)。
なお、今後も安全性と有効性が認められるのであれば、処理技術の方法が追加されるかもしれません。
PCB廃棄物の収集・運搬時には必ず運搬容器に収容します。運搬容器にはPCB廃棄物が「飛散しない」「流出及び揮発しない」ことが求められ、密閉できる容器や、吸収材の使用などで漏えいを防ぐ対策を講じる必要があります。
なお、環境省の「PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」にて運搬容器に関する詳細が示されています。
PCB廃棄物の保管や処理に関する責任は、そのPCB廃棄物を保有する事業者にあります。国や都道府県などの自治体は事業者が適切に処分できるようサポートする責務を負っており、処理計画の策定や処理に必要な措置を講じています。
事業者と国や自治体がそれぞれの責任を果たすことでPCB処理を適切に行えるため、PCB廃棄物の処理は事業者責任であることを理解しておきましょう。
中小企業等がPCB廃棄物の処理を行う場合、中小企業者等軽減制度が適用されます。同制度は独立行政法人環境再生保全機構が運営するPCB廃棄物処理基金や、国からの国庫補助金を用いて助成されています。
軽減制度の対象はJESCOにおいて処理する高濃度PCB廃棄物のみとなっており、対象物であれば中小企業者(会社、個人事業主、中小企業団体等)や法人は処分費用の70%、個人の場合には処分費用の95%を軽減してくれます。
JESCOの処理区域を超える場合には事前の手続きが必要です。
移転する前に環境大臣へ移転前後のPCB廃棄物の保管場所やPCB廃棄物の種類、変更理由などを記載した届け出を提出し、承認を得ます。
さらに、PCB廃棄物を誰が運ぶのかも重要なポイント。自分で運搬する場合は廃棄物処理法に従い、工場の特別管理産業廃棄物管理責任者の指示のもと運搬する必要があります。
業者に運搬を依頼する場合は、「移転前の工場がある県の知事」と「移転先の県知事(あるいは政令市長)」の両者が収集運搬業を承認している業者を選びましょう。また、移転前・移転先の県知事にあてた保管事業場の変更届の提出も必要です。
PCB保管状況届出書は直接提出のほか、郵送することも可能です。提出先はPCB廃棄物の保管場所を管轄している環境(森林)事務所。
なお、PCB保管状況届出書は通常正副2部で提出します(都道府県による)が、事業者の控え分は含まれていません。そのため、もしも事業者が控えを必要とする場合、その部数分を追加して提出する必要があります。控え分は環境(森林)事務所で受領印を押印してから返還されますが、届け出を郵送する場合は控え分を返送してもらうための返信用封筒(切手を貼り、返送先を記入したもの)を同封しましょう。
PCB廃棄物を処理する際には産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が義務付けられています。マニフェストの役割は「排出事業者を明確にする」「処理業者が委託通りに処理行っており、不法投棄などをしていと証明する」こと。
マニフェストは事業者が内容を確認・署名捺印したうえで処理業者(または収集運搬業者)に渡し、処理が終了すると写しが回付されます。また、回付されたマニフェストは事業者が5年間保管します。
PCB廃棄物は廃棄物処理法に基づき、特別管理産業廃棄物保管基準に従った保管を行う必要があります。
保管場所は上記の基準を順守する必要があり、もしも保管基準に沿っていない場合は都道府県知事等から是正を命じられます。
たとえば油入機器の油抜きメンテナンスなどを行う際、PCBが含有されていると汚染が起こる恐れがあります。そのため、使用機器のPCB含有調査を実施する必要があるでしょう。
なお、使用機器にPCBが含まれていた場合、一般の産業廃棄物とは異なりPCB廃棄物として適正な処分が求められます。PCB廃棄物の処理には期限が設けられているため、計画的な処理を行いましょう。
ただし、調査のために穴を開けた密封機器(コンデンサ)は再使用ができないため注意が必要です。
所有地の土壌にPCBが混入している場合は法令や条例などの規制を受ける可能性があります。 PCBによって汚染された土壌は直接的・間接的に人体へ悪影響を及ぼすため、土壌汚染対策法に基づき適切な処理を行うことが大切。
どんな場合に土壌汚染調査が必要かというと、水質汚濁防止法で規定する特定施設を廃止する場合や環境省令で定める規模以上の土地面積を形質変更する場合など。また、都道府県知事が必要と判断した場合には土壌汚染調査をおこなう義務が生じます。
土壌汚染調査の結果によって要措置区域と形質変更時要届出区域とに分けられ、要措置区域に指定された場合は汚染除去や汚染拡散防止を行います。
バイオレメディエーションとは、微生物を用いて汚染土壌や汚染水を浄化する技術のこと。これまでPCBは物理的あるいは化学的な処理が行われていましたが、近年では微生物や植物のもつ力を活用した浄化方法が注目されています。
たとえばバイオレメディエーションには、培養した微生物を汚染土壌に添加する「バイオオーグメンテーション」と、汚染土壌にある微生物を活性化して浄化を促す「バイオスティミュレーション」のほか、汚染土壌に植物を植えて汚染物質を吸収させる「ファイトレメディエーション」があります。
海外にPCB廃棄物を持ち出すことは、法律上の規制を受けます。廃棄物処理法において、産業廃棄物の輸出や輸入には環境大臣の許可が必要です。
また、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル条約国内法)においても輸出の承認を受けることを義務付けており、経済産業大臣や環境大臣から環境汚染防止措置が講じられているかの確認を受けます。
よって、海外にPCB廃棄物を持ち込んで処理してもらうことは不可能に近いと考えるべきでしょう。
PCB含有機器からPCB油を抜き取ったとしても、機器内部にはPCBが残っています。新たに絶縁油を注入しても汚染されたままのため、海外へ持ち込むことはできません。廃棄物処理法や電気事業法、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル条約国内法)などの規制を受け、法令違反と判断されます。
変圧器から抜油したトランス等の処理を委託することは可能です。ただし、PCB油を抜油したり差し替える場合は環境省の 「PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」や厚生労働省の 「PCB廃棄物の処理作業等における安全衛生対策要綱(平成17年2月)」などの内容に沿う必要があります。
また、対象機器から事前に抜油を行う場合、抜油したPCB油やトランスの搬入時期と処理施設での受け入れ可能時期のタイミングを合わせる必要もあるので注意しましょう。
環境省では計画的処理完了期限後の継続保管事例を紹介しています。以下に事例の一部を紹介します。
PCB廃棄物を処理する際に発生した処理費用は、「産廃処理費」や「廃棄物処理費」などの勘定項目を設定すると良いでしょう。とくに廃棄物の処理費用が常に発生する状態であれば、廃棄物処理費を設定し、PCBを含めた廃棄物の処理費として計上します。
なお、「雑費」として処理することも可能です。
焼却と洗浄のどちらの処理方法が適しているかは、処理物によって異なります。そのため、一概にどちらが優れているとはいえません。処理したい製品に合った方法を選択するべきでしょう。
なお、どちらも紙くずや金属くずなどのPCB汚染物・処理物の処理が可能ですが、洗浄方式は廃PCBや廃油・廃酸・廃アルカリを含むPSB処理物の処理には適していません。
焼却処理では高温で加熱し、機器内のPCBを揮発させます。揮発したガスは1,100℃以上の高温で燃焼させ無害化します。
一方洗浄処理では、機器内のPCB汚染油を抜き出し新しい絶縁油を充填して循環洗浄する方法や、機器を解体して溶剤で洗浄する方法などがあります。
変圧器内のPCB油を抜き、新たな絶縁油を注油して洗浄する方法。新たな絶縁油を注油した後は90日間通電します。通電によって部材が発熱し、発熱によって絶縁油が対流することでPCB残留油が部材からしみ出します。この作業によって機器内のPCB濃度が平均化され、濃度が0.3 mg/kg以下になれば洗浄処理完了です。
PCB廃棄物が所在する不動産取引を行うには、電気事業法及びPCB特別措置法に従って所要の手続きを行う必要があります。また、事前調査でPCBを使用した蛍光灯等の安定器を発見した場合については、該当の蛍光灯等を速やかに交換し、処分に係る所要の手続きを行いましょう。すでに廃棄されて保管中のPCBを含む電気工作物や安定器を発見した場合、売主側には適正な処分が求められます。
保管者側でPCB廃安定器等の分解・解体を行うことは、高濃度PCBが漏出・揮散する危険性があることから、法律で原則禁止されています。ただし、一定の要件を満たすコンデンサ外付け型安定器については、例外としてコンデンサーを取り外すことが可能です。
PCB廃安定器を分解又は解体する際は、以下の点に留意する必要があります。
建物の解体工事を行う際、変圧器やコンデンサー、蛍光灯安定器、水銀灯安定器等の電気機器にPCBを含む絶縁油が使用されている恐れがあります。そのため、建物解体時はこれらの電気機器にPCBが使用または混入していないかの確認が必須です。PCB廃棄物が発見された場合、建物所有者に処理責任があります。解体業者に工事と合わせて処理を丸投げできないため、建物所有者が保管または処理の手続きを行わないといけません。
PCBには209種類もの異性体が存在し、それらの総称としてPCB類と呼ばれています。また、毒性の観点からdl(dioxin-like)PCB類およびndl(non-dioxin-like)PCB類に分類されるのが特徴です。PCBの異性体のなかでも毒性がより高いとされているのが、ダイオキシン類に指定されている12種類の異性体の総称「コプラナーPCB」です。また、PCBには特定代替品も存在し、指定化学物質リストに掲載されています。
一部の有機顔料の製造工程において、非意図的にPCBを副生することが調査で明らかになっています。有機顔料中に発生するPCBのリスクについては、今のところ重大な健康リスクは想定されないとのこと。事業者には有機顔料内のPCBを低減するための策が求められていますが、対象となる事業者や有機顔料の種類が多く、事業者・製品によって製法も異なることから、工業技術的・経済的に低減可能なレベルの基準値の設定が困難と考えられています。
PCB汚染の可能性がある機器を処理するには、機器に穴をあけて絶縁油を採取し、PCB濃度を測定する必要があります。一方で、機器によっては低濃度PCBを含有しているとみなして処理できるものもあり。低濃度PCB廃棄物とみなして処理する場合は、PCB濃度の確認は不要です。
ただし、適正に保管する必要があるほか、保管場所を管轄する自治体に低濃度PCB廃棄物の保管状況について届出を行わないといけません。みなし処理を行えるケースとしては、「使用中の絶縁油封じ切り機器」「特定の期限より前に製造された機器」の2つ。PCB特措法に違反しないためにも、みなし処理を行う場合の注意点についてしっかりと把握しておきましょう。
法人や会社が破産・倒産した場合、PCBを含む設備も財産に含まれる場合があります。PCB廃棄物の保管事業者は確実かつ適正な処理が義務付けられていますが、破産管財人は保管事業者に該当しないので義務を負うことはありません。ただ、破産管財人には一定の社会的責任が認められるため、破産財団が負担できる範囲において適正な保管・処分が求められます。
PCB廃棄物の譲渡および譲受けは法律で厳しく禁じられていますが、特例が適用されるケースにおいては第三者に任意売却することが可能です。特例を適用させるには各地方公共団体が定めている手続きをとる必要があるため、手続きの詳細については管轄の地方公共団体にお問い合わせください。
PCB含有機器のサイズが大きくて自社で解体ができない場合、大型機器のPCB処理に対応した専門業者へ依頼して、現地で機器を解体・分解した上で処理場まで運搬するか、現地で洗浄処理を実施した上で機器を解体・分解して搬出するといった工程が必要となります。
なお大型機器の取り扱いには十分な処理能力が必要なため業者の選定も重要です。
廃棄物管理システムとは、産業廃棄物の処理や管理などを効率化するために開発されたマネジメントシステムです。廃棄物管理システムを導入することで、PCB処理が必要な機器などの種類や量を一元管理し、さらに処分業者や運搬業者との情報共有についてもスムーズに行える環境が整います。また電子マニフェストとの連携にも役立ちます。
PCBは水に溶けにくい性質を持っており、河川や海などへPCBが放出されると、それが水に溶けて分解・無害化されることなく水中へ漂い続けることになります。さらに水中でPCBに接触した海藻類や微生物などから食物連鎖が発生した結果、生物濃縮によって高濃度のPCBが生じ、人を含めた動物への健康被害や生態系の崩壊を引き起こします。
PCBが大気中へ放出されると、それは分解されることなく気流によって広範囲へ拡散され、大気汚染や環境汚染を引き起こすことが問題です。加えて、大気中に広がったPCBは再び大地へ下りてきて人の生活環境を汚染するだけでなく、海にまで広がって雨や雪によって海中に落下し、今度は深刻な海洋汚染や水質汚染といったリスクを高めます。
PCB含有物の回収作業や処理作業中のばく露リスクは、作業対象となるものの種類や工法によっても変わります。例えばトランスやコンデンサといったPCBが内包されているタイプのPCB含有物であれば、適正な作業手順に則る限りばく露リスクは低いと考えられますが、塗膜の剥離や解体といった作業に関してはPCB含有物の飛散が生じるためばく露リスクも高まるでしょう。
そのためPCB含有塗膜の剥離作業などを行った場合、作業完了後に作業員の体調チェック、血中PCB濃度の調査を実施して健康被害の有無や健康状態を確認しなければなりません。
PCB含有塗料を使われた塗膜を剥離させる場合、原則として湿式工法(湿式剥離工法)による剥離作業を行います。湿式工法とは剥離剤や薬剤を使用して、対象部位を湿らせて塗料を溶解し、柔らかくした状態で剥離させるものとなります。
湿式工法ではPCB含有塗膜を柔らかくして削り取るため、必要以上の衝撃を与えてPCB汚染物が飛散するといったリスクを低減できる点が重要です。なお湿式工法には湿式ブラスト法や剥離剤を用いた剥離方法など、さらに色々な種類が存在します。作業条件・作業環境に合わせて適切な方法を選択することが肝要です。
カネミ油症事件は昭和43年に発生した大規模食中毒事件であり、福岡県のカネミ倉庫株式会社が製造したライスオイル(米ぬか油)へPCBが混入し、それを摂取した人々に様々な健康被害が現れたというものです。またその症状は本人だけでなく子供などにも及んでいます。
現在進行形で被害者が苦しんでいるカネミ油症事件について解説します。
POPs条約はPCBやDDTといった有害物質の廃棄方法や廃絶について定めた国際条約であり、日本も加盟国の一員としてPOPs条約にもとづいたPCB処理に関する法制化やルール作りを行っています。
POPs条約の内容や有害物質として対象となる条件、POPs条約加盟国に義務づけられている取り組みなどについて解説しました。
PCBは、体内に蓄積されやすく、さまざまな健康被害を引き起こし、皮膚の色素沈着や湿疹、発がん性、免疫系や神経系への影響が報告されています。
PCBが及ぼす人体への影響や漏洩・飛散した場合の適切な対処方法、皮膚に付着した際の応急処置についても解説しました。
PCB廃棄物の処理方法や届出方法などについては、様々な法律によってルールと罰則が定められています。
PCB廃棄物の取り扱いに違反した場合の罰則は、例えばPCB含有物・PCB廃棄物の保管業者が法的に義務づけられている届出を行わなかった場合、6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されます。さらにPCBの不法投棄については5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またはその両方が科せられ、さらに法人に対しては3億円以下の罰金も定められています。
PCBを含有している電気機器などはPCB汚染物として適切に処理を行わなければならず、PCB廃棄物の無害化処理を許可された事業者は施設へ委託して対応してもらうことが必要です。
また、PCB廃棄物を適切な処理方法によって無害化した後、回収される鉄や銅、ガラスといったリサイクル資源については、改めて資源として再利用できることも見逃せません。
現在は国際的に持続可能な社会の実現が共通目標として掲げられており、限られた資源を有効利用できるリサイクルも健全な方法を前提に推進されています。
PCBの処理については認定事業者や認定施設に依頼しなければなりませんが、そもそもPCB処理の認定事業者として認められるには様々な条件や基準を満たすことが必要です。
認定事業者になろうとした場合、まず認定基準に合致した施設や処理能力を備えた上で、制度について適切な理解を持って申請を行います。そしてその後、関係者や有識者などの意見も踏まえて審査が行われ、全てに合格した場合に認定書が交付されます。
また認定書を交付された後も引き続き、事業者としての適合性を証明することが不可欠です。
低濃度PCBなどの特別管理産業廃棄物の排出事業者は、廃棄物処理法の定めに従って事業場に「特別管理産業廃棄物管理責任者(特管責任者)」を配置しなければなりません。
特管責任者の資格要件や重要性についてまとめました。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い