公開日: |更新日:
PCBは様々な機器や装置に利用されており、本来であればPCB汚染物に該当する機器や部品のみを分解・処理して保管することが望ましいでしょう。しかし大型機器のように分解・解体に専門知識や技術、また専用設備などを必要とする機器の場合、どうしても自社で安全に分解したり処理したりすることは難しくなります。
そのため、基本的にPCBを含有している大型機器については専門の処理業者へ依頼して、安全に分解・処理してもらうことが無難です。
PCBを含有している大型機器の場合、一般的に分解処理の方法としては設置場所から処理場まで運搬してから解体する方法と、現地で機器を解体してから処理場まで運搬するという方法の、大きく2つのケースが想定されます。
大型機器・超大型機器に関しては、トラックや低床トレーラーといった運搬車両に現物を積載して処理場まで運搬することが困難です。そのため、そのような大型機器に関しては設置されている現地で解体を行ったり、現地で洗浄処理を行ってから改めて解体したりといった方法が採用されます。
現地解体ではPCBが漏出しないように安全確保を行った上で、クレーンなどの重機を利用して大型機器を解体した後、運搬車両で処理場まで運びます。また現地解体が困難な場合は洗浄装置を持ち込んで現地で洗浄処理を実施し、安全な状態にしてから解体運搬するという流れです。
小型機器から中型機器、そして大型機器の中でも比較的サイズが小さいものについては、運搬車両で処理施設まで有姿の状態を保ったままで運搬し、改めて処理施設で焼却処理を行います。
現地解体や現地での洗浄処理を必要としないため、速やかに機器を撤去して新しい機器を導入したり、工場などの施設を解体・移設したりできる点がメリットです。ただし、運搬できる機器のサイズや対応可能な業者に制限があることはデメリットでしょう。
現地で大型機器の解体・分解処理を行う際の作業フローとして一般的な流れを紹介します。
まずは現地の環境に合わせて安全な作業場を確保するため、大型機器の解体や処理に必要な機器などを搬入します。なお、搬入経路や方法は依頼者の状況に応じて調整され、あらかじめ工事計画書を作成した上で実施されることが望ましいでしょう。
同時に、処理中にPCB汚染物の絶縁油などが漏出・飛散して周辺を汚染しないよう、設置場所の周りや動線など作業に必要なエリアを全てシートや保護板で養生します。なお解体処理を行う場所が屋外の場合、周辺への影響を抑えるためにテントを架設するといった方法が採用されます。
解体対象機器の下部の養生が適切に行われていると確認された後、PCB汚染物(絶縁油)の抜油を行いますが、この際に作業員は保護具を着用して、周辺環境への汚染防止だけでく作業員の安全確保にも配慮されていなければなりません。
抜油作業が完了した後、機器を搬出・運搬可能な状態にまで解体・分解します。
分解作業は各パーツの接続カ所に固定されているボルトやナットを工具によって分解したり、クレーンなどの重機を持ち込んで機械作業によって解体したりします。
また、抜油作業が完了していたとしても周辺の養生は適切に行ったままにしておき、想定外のPCB汚染物の漏出や飛散を防止することが重要です。特にフランジの分解・解放時はPCB汚染物の流出が想定されるため、オイルパンなどを使用しながら床や周囲への汚染を予防します。
機器の分解・解体にどれくらいの工数がかかるかは対象機器や作業環境によって様々なため、あらかじめ業者に現地や対象機器の確認をしてもらった上で見積や作業計画書を作成してもらうことが肝要です。また、業者によって運搬できる部品の最大サイズが異なる可能性もあり、複数の業者から見積を取って比較検討するようにしてください。
その他、どうしても機器のサイズが大きくて解体しても搬出困難な場合、火災リスクを考慮してセーバーソーなどを利用して切断・分解することもあります。
解体・分解した機器や部品を現地から搬出し、運搬車両によって処理施設まで運搬します。運搬にはトラックや低床トレーラーといった車両が利用されますが、状況によってあらかじめ道交法上の許可申請を行っておかなければならないこともあるため、信頼できる業者へ依頼することが大切です。
自社で保管しているPCB含有機器の種類や数が多かったり、そのままでは搬出・運搬が困難な大型機器であったりする場合、十分な処理能力を有する処理業者にしか対応してもらうことができません。
そのため大型機器などのPCB処理を依頼する際には、小さい処理施設しか保有していない業者でなく、きちんとしたノウハウや設備を備えた業者に相談することが必要です。また実際に現地で状況を確認してもらってから計画書を作成してもらうと、解体から処理までシームレスに進められるワンストップ処理も期待できます。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い