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PCBとはポリ塩化ビフェニル(Polychlorinated Biphenyl)の略称で、化学的に合成された有機塩素化合物の1つです。炭素・水素・塩素で構成され、不燃性かつ電気絶縁性が高いなどの特殊な性質を有しています。
PCBは80年代まで製造され、変圧器・コンデンサ・安定器などの電気機器用絶縁油や感圧紙・塗料・印刷インキの溶剤などに幅広く使用されていました。PCBは脂溶性かつ生体で代謝されにくい性質を持っており、人間が摂取すると肝臓や脂肪組織に蓄積され、皮膚障害などを引き起こす慢性毒性が認められています。
PCBはビフェニルと呼ばれる物質内の水素が塩素に置き換わった化学物質で、置き換わった塩素の数や位置によって209種類の異性体が存在します。それら209種類の異性体を総称してPCBと呼び、さらに毒性の観点から2つのグループに分類されます。
dl(dioxin-like)PCB類は、ダイオキシン類と構造的に類似していることから名付けられたものです。もう一方のndl(non-dioxin-like)PCB類は、ダイオキシン類とは異なる毒性を示すと考えられています。
209種類の異性体のなかでも毒性がより高いとされているのが、コプラナーPCBです。コプラナーPCBはダイオキシン類に指定されている12種類の異性体の総称で、その毒性はWHO(世界保健機関)が定めた毒性等価係数(TEF)を用いた毒性等量(TEQ)によって判断されます。
コプラナーPCBが環境中に存在する要因として、ごみ焼却によって発生していることが分かっているほか、トランス・コンデンサ等の機器内に含有していたPCBの流出が指摘されています。
分子式 | C12HnCl(10-n) (0≦n≦9) |
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分子量 | 188.5~498.5 |
比重 | 1.44(30℃) |
融点 | 233~253、340~375℃ |
沸点 | 340~648℃ |
蒸気圧 | 4.94×10-4mmHg(25℃) |
水溶解度 | 0.7mg/L(25℃) |
分配係数(logPow) | 7.1 |
PCBの主な特性として、「化学的に安定している」「金属をほとんど腐食しない」「水に極めて溶けにくい一方で、油に溶けやすい」「電気を通しにくい」「沸点が高い」「不燃性」があげられます。PCBの化学的に安定しているというのは、熱によって分解されにくい、酸化されにくい、酸・アルカリに安定しているといった優れた特性を持っていることを意味します。
PCBには特定代替品が存在し、毒性のある物質として指定化学物質リストに掲載されています。PCBの特定代替品としてあげられるのは、「モノメチルテトラクロロジフェニルメタン」「モノメチルジクロロジフェニルメタン」「モノメチルジブロモジフェニルメタン(DBBT)の3つ。それぞれの特徴について解説します。
モノメチルテトラクロロジフェニルメタンは商品名をUgilec 141と言い、長期的な影響によって水生生物に対して非常に強い毒性を有しているとされる物質です。物質または混合物として市場に出したり使用したりしてはならず、物質を含む物品を市場に出すことも制限されています。
モノメチルジクロロジフェニルメタンはPCBの代替物質として開発されたもので、商品名はUgilec 121、Ugilec 21。化学式はC14H10Cl2となっています。毒性については不明なものの、アメリカやカナダにおいても使用が規制されている物質です。モノメチルテトラクロロジフェニルメタンと同様に物質または混合物として市場に出したり使用したりすることが制限されており、モノメチルジクロロジフェニルメタンを含有する物品を市場に出すこともできません。
モノメチルジブロモジフェニルメタンは、モノメチルジクロロジフェニルメタンの塩素が臭素に置き換わった構造をした物質です。化学式はC14H12Br2。アレルギー性皮膚炎を起こす恐れがあるほか、長期または反復暴露によって臓器障害を起こす恐れあり。また、長期的影響によって水生生物に対する非常に強い毒性を有しているとされています。
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