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PCBをアルカリなどの薬剤等と十分に混合することで、PCBの分子を構成する塩素と反応させる処理技術です。薬剤によって反応したPCBの塩素は水素等に置換され、無害化します。
脱塩素化分解の方法のひとつとして、アルカリ触媒分解法(BCD法)が挙げられます。米国EPAで開発された技術を日本でも導入したものであり、国内の電力会社などで処理実績をもっています。
アルカリ触媒分解法では、まずPCBを含む絶縁油にPCBの分解を促す添加剤とアルカリを添加します。そして窒素雰囲気のもと300~320℃程度で加熱し、PCBの塩素を置換します。
超臨界水や超臨界水に近い状態の水を用い、PCBを塩類の無機物や水、二酸化炭素に分解する処理技術です。超臨界水とは温度と圧力を調整してつくられた水であり、液体や気体でもない状態。強い反応溶媒特性をもっています。
還元雰囲気条件の高温下で熱化学反応を起こし、PCBを塩や燃料ガスに分解する処理技術です。還元雰囲気とは、水素や一酸化炭素といった還元性ガスや硫化水素などによって酸化するガスが含まれている可能性のある雰囲気のこと。酸素や酸性化ガス、蒸気を取り除いて酸化を防いでいます。
PCBに紫外線(波長250~300nm)をあてて光化学反応を起こし、PCBに含まれる塩素を脱離させる処理技術。光化学反応によってほとんどのPCBは分解されます。
残ったPCBは75℃に加温して触媒を加え、化学反応を起こします。化学反応によって水や塩化ナトリウム、ビフェニル、アセトンが反応生成物として残ります。また、残ったPCBに微生物処理を行う場合もあります。微生物処理では二酸化炭素や水、塩化水素が反応生成物として残ります。
アルゴンガスなどのプラズマを用いた処理技術であり、PCBを化学的に分解します。3,000℃以上の高温プラズマ中にPCBを噴霧注入し、PCBを二酸化炭素や塩化水素などに分解します。
また、15,000℃以上の高温のプラズマと1,400℃以上の溶解浴によってPCBを分解する「プラズマ溶解分解法」もあります。形態や形状の異なるPCB廃棄物を一括して処理でき、処理前の人による解体作業も不要です。
PCBを1,100℃以上の高温で焼却する処理技術です。高温焼却されたPCBはダイオキシン類を生成せずに分解されます。高温焼却処理は欧米での実績がありコスト面にも優れているものの、日本では燃焼ガスが発生することなどから周辺住民に強い不安があり、ほぼ行われていませんでした。
現在ではロータリーキルン式焼却炉・ストーカ式燃焼炉・酸素バーナー式溶解炉などによって焼却処理が行われています。
PCBの焼却処理の例では、まず連続式加熱炉で850℃×4時間の加熱を行い、機器に付着したPCBを揮発させる「加熱分離」を行います。揮発したPCBを含むガスは1,100℃以上の高温で燃焼され、二酸化炭素や水蒸気、塩化水素に分解されます。
なお、焼却処理施設を設置する際は燃焼実証試験を行い、ダイオキシン等を含む排出濃度や周囲への影響を確認する必要があります。試験を行う前には都道府県や政令市と協議し、手続きを行わなければなりません。
メカノケミカル反応の原理(機械的エネルギーで化学反応を起こす)を活用した処理技術。機械的エネルギーを付与する粉砕操作を行い、PCBを分解します。非加熱分解法であり、ラジカルプラネット法などがあります。
PCBに汚染された紙くずや繊維くず、金属くず、廃プラスチックなどの処理に使用されることが多いようです。
千数百℃以上の高温を用いてPCB廃棄物を溶融分解する処理技術です。プラズマ溶融法やジオメルト法があり、PCB汚染された土壌の処理にも適用可能。溶解分解によって有機物は分解しガス化され、無機物はガラス固体や金属体になります。PCBに汚染された紙くずや木くず、廃プラスチック、陶磁器くずなどの処理方法として有効です。
PCB廃棄物(PCBを含んだコンデンサやトランスなど)を解体して、各部材を溶剤で洗浄する処理技術です。PCBは化学処理によって無害化され、溶剤中のPCBを分離除去した溶剤は再利用が可能。洗浄法にはさまざまな種類があり、溶剤や洗浄法によって内容が異なりますが、PCBに汚染された紙くずや繊維くず、廃プラスチックなどの処理に適用できます。
真空加熱分離などがあり、真空に近い状態で物質を加熱してPCBを蒸発させます。分離したPCBは冷却後液体として回収し、化学処理によって無害化します。分離法は複雑な構造物でもPCBを容器内に残さず簡単に回収可能。たとえば柱上トランスやコンデンサなどの電気機器の処理にも対応できます。
なお、処理後に残った容器はスクラップしてリサイクル可能。PCB廃棄物・処理物である紙くずや廃プラスチック、金属くずなどの処理に適用できます。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い