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PCB廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物)は、所有・使用・製造が禁止されており、所有者は定められた処分期間内に廃棄しなければならないものです。廃棄物に含まれるPCBの含有量によって低濃度と高濃度に分類されており、それぞれ処分期間が定められています。
低濃度PCB廃棄物の処分期間は令和9年(2027年)3月31日で全国共通ですが、高濃度PCB廃棄物は地域によって処分期間が異なります。北海道においては、令和4年(2022年)3月が処分期間となっており、残り1年にも満たない状況です。
したがって、高濃度PCB廃棄物の所有者は早急な廃棄処分を行う必要があり、低濃度PCB廃棄物についても、処分期間が迫っていることから、余裕を持って手続きしなければなりません。
参考:経済産業省 https://www.safety-kinki.meti.go.jp/denryoku/pcb/index.htm
JX金属苫小牧ケミカルでは、ストーカ式燃焼炉および固定床炉によりPCB無害化処理を行います。加熱分離、焼却による処理方法ですが、ダイオキシンを発生させずに完全無害化処理が可能で、環境への負荷が少ない設備です。
平成30年(2018年)9月に北海道で初めて低濃度PCB廃棄物無害化処理の大臣認定された会社で、ISO14001(環境マネジメント)も取得しており、徹底した環境対策を実施。また、資源を有効活用するため、リサイクル事業にも力を入れています。
北海道電力ネットワークでは、加熱強制循環線情報にてPCB無害化処理を行います。加熱強制循環洗浄法とは、加熱した洗浄油を強制的に循環させ、機器内部に付着したPCBを洗浄して除去する方法です。 北海道電力ネットワークの洗浄施設2基で、変圧器類を5日かけて最大6台を無害化することが可能です。
北海道では、低濃度PCB処理が可能な事業所が、JX金属苫小牧ケミカルのみでしたが、令和2年(2020年)10月に本事業所が認定されたことで、選択の幅が広がりました。
平成29年度より開始された北海道による補助金事業です。低濃度PCB廃棄物の実態把握と期限内の適正処理を目的に、PCB濃度分析にかかる一部の費用を補助しています。
なお、分析前の確認事項として、濃度分析の必要性を確認するため製造者への確認を行う必要があります。また、銘板情報や製造者への確認により、分析を行わなくても絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kg以下であることを確認できる場合は補助対象外となっています。
PCB濃度分析に要する経費の1/2(上限額:1台あたり15,000円)
情報引用元:北海道公式HP「低濃度PCB含有電気機器把握支援補助の概要」
環境省が設けている、中小企業者等を対象とした補助金事業です。トランス類やコンデンサ類、PCB油類といったPCB廃棄物について、処理費用を軽減してくれます。なお、補助金は独立行政法人環境再生保全機構が運営するPCB廃棄物処理基金及び国からの国庫補助金から支払われます。対象となるのは中小企業者や法人、個人など。適用となるには条件があるため事前に確認しておきましょう。
トランス類、コンデンサ類、PCB油類、安定器等・汚染物、保管容器
※ JESCOにおいて処理する高濃度PCB廃棄物のみが対象
情報引用元:環境省「中小企業者等の軽減制度について」
PCB処理の見積もりを取得する際は、近隣の事業者へ依頼するのが基本です。しかし、今回ご紹介した通り、広い北海道において低濃度PCB処理が可能な事業者は2社しかなく、価格やサービス面が比較しにくいのが現状。
処理方法や金額など、事業者によって大きく異なる場合もあるので、2社のみで検討するのはあまりおすすめできません。遠方の事業者に依頼する場合、移動費等のコストは多くかかりますが、スムーズな処理計画がされ、スピーディに動いてくれるなら、価格に見合ったサービスといえるでしょう。
処理能力が高い業者なら処分期間が迫っていても慌てずに済むので、北海道以外の事業者も検討してみてはどうでしょうか。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い