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PCBとは、ポリ塩化ビフェニルの略称です。ポリ塩化ビフェニルは絶縁性や不燃性に優れているため、昭和29年以降、電気機器などに使用されてきました。現在製造しているものには含有されていませんが、高圧トランスやコンデンサに利用されることが多く、工場やビルなどの変圧器に絶縁油として混入されました。工業機器だけでなく、ノーカーボン紙や熱媒体など、あらゆる製品でPCBが含有されていたようです。
その後、環境汚染や人体に影響があることが判明し、昭和47年ごろから製造が中止されています。PCBが含有される電子機器は、2004年から本格処理がスタート。2027年3月31日までに適切な処理をしなければならないように定められています。
PCBは脂肪に溶けやすい性質を持つため、慢性的に体内に取り入れられると、体内にそのまま蓄積されます。中毒症状の主な一例として以下が確認されています。
1968年のカネミ油症事件では、食用油の製造工程でPCBが混入し、広範囲で健康被害を起こしました。人体だけでなく、魚や鳥などからもPCBが確認され、世界規模で問題となった経緯があります。
広範囲で使用されていたPCBの毒性が1968年のカネミ油症事件で明らかになり、1972年にはその製造が中止されました。
PCBを長期的に保管すると、紛失や漏洩による環境汚染の懸念が考えられ、確実に処理を行うために、2001年にPCB特措法が公布されました。これにより、PCB廃棄物を保管している事業者は毎年度ごとに、保管及び処分状況を都道府県知事に届けることが必要になりました。届出を適切に行わない場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
※参照元:環境省「PCB廃棄物を保管する事業者に課せられる規制」
低濃度PCB処理の方法は、法令で決められています。国が認定した業者又は都道府県が許可した業者に委託して行うことになります。
高圧トランスは、交流の電圧を返還する装置です。内部液は、PCBとトリクロロベンゼンの混合溶液になります。
高圧コンデンサは、電気を一時的に蓄え電圧を調整する装置です。内部液の絶縁油に低濃度PCBが使用されている可能性があります。
キュービクル式高圧受電設備は高圧で受電するための機器のことです。絶縁油としてPCBが使用されています。
塗膜は外壁や屋根に塗った塗料が乾燥して固まったものです。塗料として低濃度PCBは使用されたいたこともありました。
OFケーブルではケーブル内部に絶縁油の通路があります。絶縁油にPCBは使用されています。
ウエス、汚泥、排水にも低濃度PCBが含まれている可能性があります。
計器用変圧器(VT)と変流器(CT)の総称であり、交流回路の高電圧・大電流を低電圧・小電流に変換する機器。指示電気計器や電力量計と組み合わせて使用します。絶縁油にPCBを含有している可能性があります。
電流を一定に保つためにインバーターに接続して使用する機器です。力率改善・高調波抑制・電源協調・サージ電圧抑制・ノイズ抑制などの効果があります。種類はACリアクトルやDCリアクトルなど。絶縁油を使用しており、PCBが含まれている場合があります。
コンデンサにおける安全性の確保や再投入時の過渡過電圧抑制を目的に使用されます。短時間で放電が必要な場合に設置され、コンデンサを回路から切り離したときの残留電荷を放電させます。絶縁油を使用しており、PCB含有の可能性があります。
電圧を所定の値に調整するための機器。電力系統や特定の電気回路で使用され、負荷がかかっても一定範囲内の電圧になるようにしています。使用されている絶縁油にはPCBが含まれている可能性があります。
AC-DCコンバータとも呼ばれており、電気の交流(AC)を直流(DC)に変換する機器です。一方向のみに電流を流し、蓄電器の充電用機器として使用されています。PCBを含む絶縁油を使用している可能性があります。
スイッチのことであり、電気回路の開閉のために用いる機器です。調相設備や変圧器などに設置されており、絶縁油を使用。機器によってはPCBを含有している可能性があります。
電気回路を開閉することで電流を遮断する機器。電力系統に事故が発生した際、故障電流を急速に遮断します。なお、大きな電流を遮断する機器を遮断器、小さな電流のみ遮断するものを負荷開閉器として区別しています。PCBを含有する絶縁油を使用している可能性があります。
変圧器や発電機において、電路の対地電位上昇抑制や地絡事故時の検出のために使用されます。絶縁油を用いており、機器によってはPCBを含有している可能性があります。
SPDとも呼ばれており、雷から機器や設備を保護する役割をもつ機器です。落雷時やスイッチの開閉時にサージ(瞬間的過電圧)が発生することがありますが、避雷器がサージを制限してくれます。絶縁油を使用しているため、PCB含有の可能性があります。
建築用途として1972年以前に製造されたポリサルファイド系シーリング材に、PCBが含有されている可能性があります。古い建物の所有者や管理者はPCB含有シーリング材の確認法について把握しておくことが必要です。
一般家庭で使われている身近な家電製品にも、PCBを含有した部品が使われている可能性があります。PCB含有の可能性がある家電は、冷暖房機、テレビ、電子レンジの3つ。これらの家電に使われているコンデンサー等は絶縁油封じ切りタイプで環境汚染の心配はありませんが、廃棄する際はPCBの有無を調べる調査と除去が必要です。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
引⽤元:オオノ開發 https://www.ohno-as.jp/frep/
全国
※日本各地に支店あり
(東京、大阪、福岡、愛媛)
引⽤元:クレハ環境 https://www.kurekan.co.jp/treatment/iwaki.html
北海道、東北、関東、東海
引⽤元:エコシステム秋田 https://www.dowa-eco.co.jp/EAK/pub
公式サイトに記載無し
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い