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人体に対して長期毒性を有するPCBは健康被害を及ぼす恐れがあることから、製造・輸入・使用が事実上禁止されている化学物質です。一方で一部の有機顔料を製造する際にPCBが非意図的に生成される可能性があることが、ETAD(染料・有機顔料製造者生態毒性学協会・有機顔料メーカー等の国際団体)による報告書で公表されています。
有機顔料にPCBが含まれる可能性があることを受け、化成品工業協会が主要な有機顔料の製造・輸入事業者に分析調査を依頼。平成24年2月に分析調査の結果が化成品工業協会から経済産業省に報告され、一部の有機顔料の製造工程において非意図的に副生されたPCBが含まれていることが判明しました。
PCBの含有が判明した23種の有機顔料については第一次実態調査、同種の顔料については第二次実態調査が行われ、厚生労働省・経済産業省・環境省の3省から調査結果が公表されています。
PCBを含む有機顔料の健康リスクについて、当時確認された最高濃度(2,000ppm)を適用してリスク評価を行ったところ、重大な健康リスクは想定されないと評価されています。その結果、非意図的にPCBを含有する有機顔料を使用した製品については、回収等の特段の措置を講じる必要がないと結論づけられました。
また、有機顔料に含まれるPCBが環境中に排出された際の人体への健康および生態影響に関するリスク評価も行われ、環境経由での人体への健康および生態へのリスクは低いと評価されています。
有機顔料に含まれるPCBを低減するために事業者が実施している策としては、以下のようなものがあげられます。
【顔料を製造している場合】
【クルード(粗顔料)・顔料を輸入している場合】
一方で、工業技術的・経済的に可能な低減策については、取り扱う製品や事業者によって異なることも明らかになっています。その理由としては製法を変えると色の属性や透過性が変化する技術的な制約、事業継続の観点から経済的な制約が存在することがあげられます。
有機顔料中に副生されるPCBについては対象となる有機顔料の種類や事業者が多く、さらに事業者や製品ごとに製法も異なるため、工業技術的・経済的に低減可能なレベルの基準値を設定することが困難だと考えられています。
それを踏まえ、国際的な取組状況やこれまでの暫定的な運用状況などから、副生PCB含有濃度が50ppmを超える有機顔料については製造・輸入および出荷停止などを求める措置を継続。50ppm以下の有機顔料については製品や事業形態などに応じて「利用可能な最良の技術(BAT)」を適用し、工業技術的・経済的に可能な範囲で低いレベルで管理および含有濃度の低減に努めることが適当と考えられています。
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