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人体への有害性があることから、早期適正処理が求められているPCB廃棄物。収集・運搬においても安全確実な実施が必要であり、収集運搬ガイドラインなどの国が定めた基準に従うことが重要です。
もしもPCB汚染物の収集・運搬中に、PCBが漏れたり流出してしまったらどうなるでしょうか。人体の健康を害したり、環境へ悪影響を与えてしまうでしょう。そのため、万が一の場合に備えて対策を講じ、収集運搬を慎重に行う必要があります。
まず、PCB汚染物を収集運搬する事業者は、以下の項目を満たす必要があります。
条件を満たすことに加え、その地域の「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」を所有しなければなりません。
また、収集運搬では以下の基準に従う必要があります。
情報参照元:【PDF】環境省「低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」
PCB汚染物は長期の保管によって劣化している可能性があります。腐食や変形、破損によってPCBが漏洩する恐れもあるため、漏えいの点検と漏えい防止措置を講じなければなりません。
漏えい点検では変圧器やコンデンサー、PCB汚染物を収納している容器などを確認し、破損等がないかを調べます。もしも漏えいの恐れがある場合には適切な運搬容器への収集や補修、保護などの対応が必要です。
なお、漏えい点検は、事前調査のほか積込み時や積降し時、運搬中の長時間停止時にも行います。封印しているなどの構造上確認が困難な場合を除き、漏洩の有無や固縛状況などを目視で確認します。
情報参照元:【PDF】環境省「低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」
情報参照元:【PDF】環境省「低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」
保管事業者自らが運搬することは可能ですが、JESCOへ運搬する場合は事前の確認が必須です。
また、収集・運搬ガイドラインには「収集運搬体制を明確にして保管事業者が責任者として業務を統括し安全管理を行う」と記載されており、収集運搬時には保管事業者自らの運転もしくは同乗・同行をして全体の運行管理を行わなければなりません。
さらに、事前の安全・運行計画の検討や、管理体制や緊急時の連絡体制の周知も必要です。
情報参照元:【PDF】環境省「低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」
まず運搬容器に関して、収集・運搬ガイドラインでは「微量 PCB 汚染廃電気機器等の収集・運搬を行う場合には、消防法令や国連勧告に準拠している船舶危規則等を踏まえ、その種類や性状に応じた運搬容器を用いて行う。」と記載されています。そのため、PCB汚染物の種類や性状によって適切な容器は異なります。
また、運搬車両についても、特定の車両である必要はないものの、ガイドラインでは「運搬車等には応急措置設備、緊急時の連絡設備等が備え付けられていること」と定められています。
情報参照元:【PDF】環境省「低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」
PCB汚染物やPCB含有物などの搬送などに使った運搬容器の再利用することは可能です。ただし容器を再利用する場合は微量PCB汚染廃棄物などによる二次汚染を防止するための必要措置を講じた上で、容器の用途も同じ条件に限り再利用することが可能となります。
なお、PCBに汚染された絶縁油が付着したものについてはPCB汚染物として処分しなければなりません。
環境省の「低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」によれば、PCB汚染物の収集・運搬作業へ従事する際、携行しなければならない書類等が廃棄物処理法によって定められている点に注意してください。
なお、具体的な携行書類は収集・運搬を自ら行う保管事業者と、収集運搬を担当する業者によって分けられており、前者であれば氏名や名称、住所、運搬するPCB廃棄物等に関連した情報などを記載した書類を用意しておかなければならず、後者についてはマニフェストや許可証の写し、電子マニフェスト加入証の写しなどが必要です。
もしPCB汚染物の収集・運搬中に何かしらのトラブルが発生した場合、あらかじめ定められているガイドラインに則って緊急時対応を適正に実行しなければなりません。
緊急時対応としてはPCB汚染物やPCB廃棄物の漏えい防止措置、揮発防止措置、腐食防止措置といった拡散や周囲への影響を防ぐものだけでなく、盗難や紛失に対する防止措置といった人的トラブルに対する必要措置などが定められています。
なお、PCB汚染物が消防法に定められた危険物に該当している場合、廃棄物処理法の定めによる緊急時対応や対策だけでなく、消防法にもとづいて消火設備の設置や防災管理者の配置、消防計画の作成といった作業も必要です。
その他、運搬車両を運転する者は安全と周辺状況に配慮した運転操作が必須です。
PCB汚染物の収集・運搬といった作業に従事する者に対しては、事前に微量PCB汚染廃電気機器等の収集・運搬に関して必要な教育を受けさせなければなりません。なお1年以上継続して収運業務へ従事する者に対しては毎年1回、もしくは作業日から遡って1年以内に教育を受けていることが必要となります。
教育対象者はPCB汚染物の収運業務に関連する全ての従事者となっており、教育を実施した場合はその内容と実施状況についての記録を少なくとも5年間保存した上で、各都道府県知事の求めに応じて報告しなければなりません。
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※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い