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PCBは電気的特性に優れている上、オイルのように利用できることから様々な機械設備や施設へ使われてきましたが、人体や生き物に対して極めて深刻な毒性を有しており、PCBに接触することで人や動物などの健康を阻害したり、いっそ死滅させたりといったリスクがあります。
加えて、非常に安定したPCBは水に溶けて拡散するといったことがなく、例えば河川や海へPCBが放出されるとその濃度や毒性を維持したまま水中で存在するといった点が問題です。
水中に放出されたPCBは海藻類に付着したり海洋生物に付着したりして、それらを餌とする海洋生物によって生物濃縮され、やがて人間は大型の海洋生物などへ致命的な健康被害をもたらすといったリスクを増大させます。
事実、海上へ不法投棄された機械製品などから漏れ出したPCBは国際的にも大きな海洋汚染を引き起こしており、例えばマリアナ海溝に生息する深海生物の体内に生物濃縮されたPCBは極めて高濃度に至っているなど、水質汚染や海洋汚染として重大視されている点も問題です。
PCBによる水質汚染で海洋生物などにPCBの生物濃縮が発生すると、どうして大きな問題になるのか考える上で、注目すべきはまず以下の2点となります。
そもそもシンプルな問題として、PCBの生物濃縮によって海洋生物の体内にPCBが高濃度で蓄積された場合、それはそのまま人間や他の動物にとって「毒を持った食材」になるでしょう。そのため、PCBへ直接に触れていないような環境に暮らす人々であっても、PCBが濃縮された魚介類や海洋生物を食べることで重度の中毒症状を引き起こして健康を損なう危険性が増大します。
また、人間がPCBによる健康被害を受けなくても、その環境に暮らす海洋生物の免疫系が異常を来して死滅しやすくなったり、繁殖ができなくなって数が減ったりすれば、食物連鎖のバランスが崩壊して生態系が狂ってしまいます。
生態系の崩壊はさらなる環境被害や環境汚染を導くため、連鎖的に状況が悪化していくことが考えられます。
PCBによる深刻な水質汚染の被害を抑えて、自然環境の保護を推進するために、PCBの水質汚染について複数の法律により規制や条件が設けられています。
水質汚染や水質汚濁に関しては、施行令「水質汚濁に係る環境基準について」が交付されており、PCBによる環境汚染や魚介類汚染の深刻な問題に関する対策基準として利用されている点が重要です。
「水質汚濁に係る環境基準について」ではPCBに関して環境基準が定められており、PCB排出基準は「検出されないこと」が重要であるとされ、数値的には0.0005ppm(ガスクロマトグラフ法)が定量限界値になっています。
情報参照元:環境省|水質汚濁に係る環境基準についての一部改正及び水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令等の施行について
水質汚濁法は向上や事業所から、公共用水域へ排出される水や、エリアの地下へ浸透する汚水などについて規制を設けて、生活用排水対策を推進するために設けられています。
水質汚濁防止法では事業者の故意の有無を問わず、PCB流出などの水質汚染によって人々に健康被害をもたらした場合、たとえ無過失であっても損害賠償責任を負わなければならないと定めている点を押さえておきましょう。
環境基本法(平成5年)では第16条において、公共用水域の水質汚濁に関して、人の健康被害を防止して環境を保全するために望ましい基準が設けられています。
下水道法は、文字通り下水道の整備や環境保全、公衆衛生の保護を目的とした水質保全などについて定めている法律です。下水道へPCBを含む汚濁物質や汚濁原因を流すことを禁止しており、公共下水道へPCBなどを流出させた場合は罰せられるために注意してください。
情報引用元:日本環境測定分析協会|PCBに係る環境法令基準等
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※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い