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PCBは昭和29年より主に絶縁油の用途で国内製造が開始されました。しかし昭和43年には米ぬか油へのPCB混入により、「カネミ油症事件」が発生。PCBが人体へ悪影響を及ぼすことがわかり、昭和47年には国からPCB使用製品の製造中止と回収の指示が行われました。
ただ、その後約30年間に渡り、民間主導で進められたPCB処理施設の立地計画はすべて失敗。住民の理解を得られず、設置を予定していた全国39ヵ所の処理施設すべてが実現できませんでした。そのためPCB廃棄物を処理することができず、処理の停滞や保管の長期化によって紛失や漏洩のリスクが問題視されていました。
そこで平成13年、国が「PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)」を施行。全国5ヵ所にJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)の処理施設を設置し、国が主体となってPCB廃棄物の処理を進めてきました。
なお、PCB特措法が施行された後、PCB廃棄物の処理は進み始めましたが、翌年の平成14年に本来PCBが使用されていないはずの電気機器からPCBを検出。その機器数は膨大であり、環境省は「従来の都道府県知事による処分業の許可」と「廃棄物処理法に定められた無害化処理認定制度(大臣認定制度)の適用」を実施しました。
また、平成26年にはPCB特措法を改正し、処分期間内での処分の義務付けや確実に処分できるようにするための事項を定めています。
低濃度PCB廃棄物はPCB特措法により2027(令和9)年3月31日までに処分することが定められています。そこで、国ではPCB処理推進のためのさまざまな取り組みを行っています。
中小企業を対象として、PCBを使用している照明器具からLED照明器具への交換を支援する取り組みです。PCB使用照明器具の調査にかかる費用や交換のための工事費や設備費などの一部を補助金としてサポートしてくれます。
中小企業者が高濃度PCBの処分をJESCO社(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)に委託するとき、その費用を軽減する取り組みです。助成する費用はPCB廃棄物処理基金から支出し、中小企業者に70%(個人には95%)の費用軽減を図っています。
中小企業者が高濃度PCBや低濃度PCBをJESCO社(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)や無害化認定施設で処分する際、長期運転資金を融資する制度です。廃棄物処理に多くの費用が必要になった場合でも、事業継続のためにつなぎ資金のような融資が行われます。
参考:【PDF】経済産業省「PCB廃棄物の適正処理について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/mat01.pdf)
参考:公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団「PCB等処理推進業務」(https://www.sanpainet.or.jp/service03.php?id=8)
低濃度PCB含有電気機器把握支援補助金事業(低濃度PCB分析補助金)を実施。「北海道ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、適切な処理の推進を図っています。
参考:北海道公式サイト(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/jss/top_page/pcb.html)
「青森県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、掘り起こし調査やアンケート調査などを実施。
参考:青森県公式サイト(https://www.pref.aomori.lg.jp/nature/kankyo/PCB.html)
「岩手県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理実施計画」を策定。県の公式サイトではPCB廃棄物処理に関する情報提供を行っています。
参考:岩手県公式サイト(https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/kankyou/sanpai/pcb/1006093.html)
「宮城県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。県内におけるPCB廃棄物の保管や処理状況の把握、掘り起こし調査などを実施。
参考:宮城県公式サイト(https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/junkan/pcb-shori-index.html)
「秋田県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、中小助成件数(台数)の増加、契約の加速化の推進や処理指導などを実施。
参考:秋田県公式サイト(https://www.pref.akita.lg.jp/pages/genre/11782)
PCB含有電気機器の保有に関する調査票を作成。平成22年度と23年度には微量PCB汚染廃電気機器等調査事業も実施済み。
参考:山形県公式サイト(https://www.pref.yamagata.jp/050010/kurashi/kankyo/haikibutsu/pcbhaikibutsu/pcbtekiseishori.html)
「福島県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。専任のPCB廃棄物適正処理促進員による立入検査や指導、PCB含有調査費用や低濃度PCB廃棄物の分析費用の一部支援を実施。
参考:福島県公式サイト(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16045b/haikibutsutaisaku024.html)
「茨城県PCB廃棄物処理計画」を策定し、北海道、室蘭市及びJESCOとも連携。また、県では独立行政法人環境再生保全機構の「PCB廃棄物処理基金」に対して補助金を拠出。
参考:茨城県公式サイト(https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/haitai/shisetsu/shisetsu/pcbtodokede.html)
「栃木県PCB廃棄物処理計画」を策定し、事業者に向けた早期処理の指導や情報提供などを実施。
参考:栃木県公式サイト(http://www.pref.tochigi.lg.jp/d05/eco/haikibutsu/haikibutsu/pcb-top.html)
「群馬県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」の策定やPCB廃棄物等を網羅的に把握するための調査を実施。
参考:群馬県産業廃棄物情報(https://www.gunma-sanpai.jp/gp15/029.html)
「埼玉県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。アンケート調査や掘り起こし調査などを実施し、PCB廃棄物処理基金に対する補助金も拠出。
参考:埼玉県公式サイト(https://www.pref.saitama.lg.jp/a0506/pcb/pcbnituite.html)
「千葉県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。保有事業者に対する監視や指導、調査や情報提供を実施。
参考:千葉県公式サイト(https://www.pref.chiba.lg.jp/haishi/pcb/index.html)
微量PCBの分析費用助成制度を設け、分析経費の一部を助成。「東京都ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」も策定し、処理の推進を図っています。
参考:東京都環境局(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/industrial_waste/pcb/)
参考:板橋区公式サイト(https://www.city.itabashi.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/971/attach_48056_8.pdf)
掘り起こし調査や保管や処分状況の公表を実施。「神奈川県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、事業者や県民に対する情報提供や指導も行っています。
参考:神奈川県公式サイト(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/p3k/cnt/f7649/index.html)
「新潟県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。また、PCB廃棄物処理資金融資制度も設けており、運搬経費を含めたPCB廃棄物処理費の4/5以内(限度額500万円)を融資しています。
参考:新潟県公式サイト(https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/haikibutsu/pcbsyori.html)
「富山県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。事業者への指導や監視、「北陸ブロックPCB廃棄物連絡会議」の定期開催を実施しブロック内の早期処理を図っています。
参考:富山県公式サイト(https://www.pref.toyama.jp/1705/kurashi/kankyoushizen/haikibutsu/kj00003548.html)
「石川県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、処理や保管状況の実態把握や指導、監視などを実施。
参考:石川県公式サイト(https://www.pref.ishikawa.lg.jp/haitai/pcb/keikaku.html)
「福井県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。収集運搬体制の確保やPCB廃棄物処理基金への拠出を行い、適正処理を推進しています。
参考:福井県公式サイト(https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/junkan/pcbhome.html)
「山梨県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。適正処理のための監視や指導、実態把握、県民や事業者への普及啓発などを実施。
参考:山梨県公式サイト(https://www.pref.yamanashi.jp/kankyo-sb/09189087676.html)
「長野県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。県内におけるPCB廃棄物等保有状況調査を実施済み。
参考:長野県公式サイト(https://www.pref.nagano.lg.jp/haikibut/kurashi/recycling/haikibutsu/pcbkekaku.html)
「岐阜県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。PCB廃棄物の所有状況の調査や、処理の進捗状況の公表などを実施。
参考:岐阜県公式サイト(https://www.pref.gifu.lg.jp/page/12693.html)
「静岡県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、保管事業者への監視や指導、立ち入り検査、早期処分の啓発などを実施。
参考:静岡県公式サイト(https://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-040/pcb/mokuji.html)
平成29年度に愛知県PCB廃棄物処理計画を変更。県内にあるJESCO処理事業所での処理の推進や、PCB廃棄物保管事業者の指導、掘り起こし調査なども実施。
参考:愛知県公式サイト(https://www.pref.aichi.jp/soshiki/junkan-kansi/0000005482.html)
「三重県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。掘り起こし調査や立ち入り調査、保有事業者への監視や指導などを実施。
参考:三重県公式サイト(https://www.pref.mie.lg.jp/common/01/ci600005201.htm)
滋賀県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画を策定し、事業者への監視や指導を実施。また、保管事業者でもある県が先導的役割を果たすため、率先してPCB廃棄物処理を行っています。
参考:滋賀県公式サイト(https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/haikibutsu/13408.html)
「京都府ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。実態把握のための調査や適正処理のための監視、指導を実施。また、JESCO大阪PCB処理事業などとも連携しています。
参考:京都府公式サイト(http://www.pref.kyoto.jp/sanpai/documents/h29kyotopcbplan300330.pdf)
「大阪府ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。また、大阪府PCB廃棄物処理計画検討委員会を設置し、処理の推進を図っています。
参考:大阪府公式サイト(https://www.pref.osaka.lg.jp/jigyoshoshido/pcb/pcb-committee.html)
「兵庫県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。PCB廃棄物の計画的な収集運搬のため、JESCOと調整を図っています。
参考:ひょうごの環境(https://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/jp/recycle/leg_272/leg_6948)
「奈良県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」策定のほか、県内におけるPCB廃棄物の処理状況を公表。PCB含有機器の保有調査も実施。
参考:奈良県公式サイト(http://www.pref.nara.jp/12570.htm)
廃棄物を処理する施設を監視するため、大阪PCB廃棄物事業監視部会等を通じて情報収集を実施しています。
参考:和歌山県公式サイト(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/031800/pcb.html#7)
「鳥取県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。PCB廃棄物やPCB使用製品の実態把握や監視・指導を行っています。
参考:鳥取県公式サイト(https://www.pref.tottori.lg.jp/78669.htm)
「島根県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、未処理事業者の把握や監視・指導、情報の公開などを実施。
参考:島根県公式サイト(https://www.pref.shimane.lg.jp/infra/kankyo/haiki/pcb/)
「岡山県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。PCB廃棄物の保管事業者の監視や指導、収集運搬の監視・指導などを行っています。
参考:岡山県公式サイト(https://www.pref.okayama.jp/page/432923.html)
「広島県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、未処理のPCB使用製品・PCB廃棄物の把握や監視を実施。
参考:広島県公式サイト(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/eco/i-i2-pcb-keikaku-pcb-keikaku.html)
「山口県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。また、PCB濃度分析を行う際の費用を補助する制度「山口県PCB含有電気機器等適正処理促進事業費補助金」を設けています。
参考:山口県公式サイト(https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a15700/pcb/renewal.html)
「徳島県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、保管事業者や使用事業者への監視・指導を実施。また、PCB廃棄物処理基金への資金も拠出しています。
参考:徳島県公式サイト(https://www.pref.tokushima.lg.jp/jigyoshanokata/kurashi/recycling/2008041700024/)
「香川県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。また、北九州事業所への一斉搬入時期を適宜設定し、高濃度PCB廃棄物の計画的な処理を推進しています。
参考:香川県公式サイト(https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/819/s2316j170317142709_f01.pdf)
「愛媛県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、実態調査や指導、計画的処理のための調整、県民や事業者への理解を深めるための方策の打ち出しなどを実施しています。
参考:愛媛県公式サイト(https://www.pref.ehime.jp/h15700/pcbkeikaku/index.html)
「高知県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。PCB廃棄物の効率的な収集運搬を行うため、保管事業者の保管量や場所等を考慮した回収・搬出ルートを決定。
参考:高知県公式サイト(https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030801/haiki-pcbsyorikeikaku.html)
「福岡県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、PCB廃棄物の保管量や使用量の把握、効率的な収集運搬のためのサポート対応をしています。
参考:福岡県公式サイト(https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/fukuokakenpcbsyorikeikaku.html)
「佐賀県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、PSB廃棄物・使用製品の掘り起こし調査や事業者に対する指導・監視などを行っています。
参考:佐賀県公式サイト(https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00356990/index.html)
「長崎県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。関係者の理解を深めるための情報公開の推進や、立ち入り検査などを実施。
参考:長崎県公式サイト(https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/kurashi-kankyo/haikibutsu-recycle/pcb/nagasakipcb/281764.html)
「熊本県ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理計画」を策定。掘り起こし調査などを実施し、県庁の部局を横断的に連携することで適正な処理を推進しています。
参考:熊本県公式サイト(https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/21220.pdf)
「大分県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、保管・処分状況の公表やアンケート調査を実施。また、JESCO や北九州市、各県市との連携を図っています。
参考:大分県公式サイト(https://www.pref.oita.jp/soshiki/13400/pcbplan.html)
「宮崎県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、PCB廃棄物等の所有状況の調査や計画的な処分のための指導などを実施。
参考:宮崎県公式サイト(https://www.pref.miyazaki.lg.jp/junkansuishin/kurashi/shizen/pcb.html)
「鹿児島県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定し、保管事業者への指導やPCB含有塗膜に係る調査などを実施。
参考:鹿児島県公式サイト(http://www.pref.kagoshima.jp/ad03/kurashi-kankyo/recycle/pcb/keikaku.html)
「沖縄県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」を策定。処分を行うPCB廃棄物の積み込みや積み下ろし漏れがないよう、収集運搬業者への指導も実施。また、JESCO北九州PCB処理事業所のある北九州市との連携も図っています。
参考:沖縄県公式サイト(https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/seibi/sangyo/pcb.html)
低濃度PCB廃棄物の処理については諸手続だけでなく処理期限についても法律で定められている一方、経済産業省や環境省の調査によれば期限内処分についての取り組みは決して十分なものでなく、そもそも確認方法の周知徹底も進んでいないことが判明しています。
そのため、国や自治体行政が主導するだけでなく、様々な業界においても低濃度PCB廃棄物の処理に関して積極的な取り組みを行うことが求められています。
ここでは業界ごとの取り組みや課題をまとめていますので、ぜひ低濃度PCB処理の参考にしてください。
参照元:経済産業省|「低濃度PCBに汚染された電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き」(https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220331008/20220331008.html)
製造業といっても様々な製品や部品を取り扱っており、自社工場で電気機器や電気設備などの生産設備を用いて製造ラインを稼働させているような企業や事業所にとっては、低濃度PCB廃棄物の問題は無視できない経営課題です。
特に古くから稼働している工場や設備については、まず工場内の全ての電気機器に関して総点検を行い、特に変圧器やコンデンサーといったものに関してはしっかりと調査しなければなりません。また必要に応じて専門家にも相談しながらリスクのある機器を特定し、生産活動へ支障を及ぼさないよう合理的かつ計画的にPCB含有物の処理や代替機への更新などをプランニングする必要があります。
特に使用中の電気機器や電気設備にPCBが含有されている場合、生産ラインの停止によるロスや工場内の汚染リスクを少しでも抑えられるように、専門家としっかり計画を練らなければなりません。
ビルや商業施設などを経営・管理する建設業・不動産業の場合、自社の所有・管理している物件において低濃度PCB含有物がないか全体調査を実施します。またテナントなどへ物件を貸し出している場合、それぞれのテナントへPCB問題の重要性や法的義務などを説明し、きちんと協力を要請して共同で対処しなければなりません。
もしも建物内にPCB含有物が存在している場合、その処理や交換を含めて建物改修計画などを立案し、実施に向けて準備していくことも必要です。
また建設業などで既存の建物を解体する場合、解体前にPCBリスクについて事前調査をすることが不可欠です。
その他、中古物件を購入する場合も必ずオーナーや管理者に状況を確認してください。
PCB廃棄物は変圧器類やコンデンサー類といった電気機器に関連していることが多く、電力関連設備を数多く保有する業界として電力業・エネルギー業は特に注意すべき業界といえるでしょう。
そのため、自社の所有する変電所や送配電設備など、あらゆる施設や設備においてPCB含有物の有無を調べると共に、PCB含有物が認められた場合はそれぞれの濃度やリスク、作業難易度などを総合的に検証して優先順位を付けるリスクアセスメントが必要です。
また、現在使用中の既存設備においてPCBが含有されている場合、代替設備や代替技術を積極的に導入し、PCBフリーな環境の構築に向けてリーダーシップを発揮していくことも求められています。
医療機関や研究機関では様々な電気設備や医療機器が活用されており、施設の設立された時期や規模によってはPCB含有物が利用されている可能性も当然に考えられます。また国内メーカーの製品だけでなく海外製の医療設備についても適切にチェックしなければなりません。そのためX線発生装置などPCBリスクのある機器に対する重点的な調査を実施すると共に、過去に使用されていた機器や古い設備などに関してももれなく調べることが必須です。
また、PCB処理において周辺環境や人々への安全確保が極めて重要な課題であり、医療活動や研究活動に支障を及ぼさないよう安全に配慮した処理計画を立案しなければなりません。なお、必要に応じて他の医療機関などへ協力を要請することも検討します。
ロジスティクス業界では大型車両や様々な運搬設備・保管設備などが稼働しており、電気設備や電気機器の中には低濃度PCB含有物が含まれている可能性もあるでしょう。また、車両運送だけでなく鉄道運送といった分野に関連する事業者の場合、鉄道車両の変圧器などに注意して調査することも大切です。
特に古くから倉庫や物流拠点として利用されている施設などの場合、PCB含有物が紛れている場合もあるため、全体調査を行ってきちんと明確化しておくことが求められます。
またPCB処理の手順や計画について検討する際は専門家や取引先とも連携し、安全な環境で処理することが重要です。
あらゆる業界に共通の取り組みとして、PCB特措法で定められた2027(令和9)年3月31日までの処分を完了することが前提になります。反面、PCB処理はPCB含有物が発見されてから直ちに実施できないこともあり、早急に調査を行って機器の確認や専門家への相談を行わなければなりません。
また低濃度PCB廃棄物が存在すると分かった際には、速やかに行政への届出といった手続きを行うと共に、社内教育を実施して安全意識の啓蒙に努めることも大切です。
その他にも業種・業態ごとの特性を踏まえた上で自社に合わせた取り組みを検討し、専門業者や自治体と連携しつつ適切な処理や期限内の廃棄完了を目指していきましょう。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
引⽤元:オオノ開發 https://www.ohno-as.jp/frep/
全国
※日本各地に支店あり
(東京、大阪、福岡、愛媛)
引⽤元:クレハ環境 https://www.kurekan.co.jp/treatment/iwaki.html
北海道、東北、関東、東海
引⽤元:エコシステム秋田 https://www.dowa-eco.co.jp/EAK/pub
公式サイトに記載無し
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い