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PCB処理に関しては、その内容や手順に合わせて、様々なルールが複数の法律によって定められています。環境省が取りまとめたガイドラインから抜粋した内容は次のとおりです。
労働安全衛生法は、PCB処理の収集や運搬といった「技術的な取り扱い」について規制している法律のひとつです。
作業へ従事する労働者の安全や衛生に関して一般的な各種規定が定めている他、さらにPCBに関連しては「PCBをその重量の1%を超えて含有するもの」を特定化学物質第一類として指定しており、特定化学物質第一類の取り扱いについて、具体的な作業方法や作業環境などを「特定化学物質等障害予防規則」として規定しています。
消防法は火災を含めた事故や災害に関して、予防や発生時の対応など、様々なルールを定めている法律であり、危険物の取り扱いについても貯蔵所の基準や運搬方法といった規定が明記されています。
PCB自体はガソリンや石油と異なって難燃性であるものの、トランスへ使用されている絶縁油に引火性のトリクロロベンゼン等塩素化ベンゼンが含有されていることから、条件によっては消防法が定める危険物(引火性液体)に該当する恐れもあるでしょう。
なお、取り扱い対象のPCB含有機器などが消防法に該当する場合、トリクロロベンゼンや含有絶縁油の引火点を測定し、その結果に応じて適切な処理を実施しなければなりません。
PCB廃棄物を船舶によって輸送する場合、その取り扱いに「危険物船舶運送及び貯蔵規則」が適用されます。
危険物船舶運送及び貯蔵規則は船舶で物資を運搬する場合において、荷役や運搬容器といった方法についてのルールを定めているものであり、PCB廃棄物の運搬に関しても適切な対応を遵守することが必要です。
PCB廃棄物の処分や移動といった作業について、適切な届出や手続きの流れを定めている法律が「PCB特別措置法」です。なお、この法律は一般的に「PRTR法」と略されます。
PRTR法ではPCB廃棄物の処分状況に関する届出の方法や、PCB廃棄物の移動に関する取り決めなどが規定されており、一連のPCB処理を行う際には適宜PRTR法のルールを遵守しなければなりません。
PRTR法と並んでPCB処理の届出について定めている法律が「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法)」です。なお、化学物質排出把握管理促進法は「化管法」としても略されます。
PCBのような指定化学物質の製造、移動、使用について年一回の届出を義務づけており、またそれらによって収集されたデータをまとめて公表するPRTR制度の仕組みを構築しています。
PCB処理やPCB廃棄物の取り扱いについて、法的に定められているルールを守らなかった場合は様々な法的罰則や罰金が科せられるので注意が必要です。
PCB廃棄物については法律によって処理期限が定められており、さらにPCB含有濃度によっても処理期限が異なっていることがポイントです。
高濃度PCB含有廃棄物の処理期限は最も長いエリアでも「2023年3月31日」として定められ、2024年7月現在においてそれらのPCB廃棄物は全て処理期限が過ぎていることになります。そのため、もし高濃度PCB含有廃棄物を未処理状態で保有していたり、新たに発見したりした場合、速やかに管轄行政や指定業者などへ連絡して対処しなければなりません。
また低濃度PCB含有廃棄物については「2027年3月31日」が処理期限となっており、こちらについても期限内に適切な処理を実施することが必要です。
なお、PCB廃棄物の処理期限を越えている場合は行政から改善命令が下され、それに従わない場合は刑事罰の対象になることもあります。
PCB処理期限の範囲内にPCB廃棄物を適切に処理せず、放置しているような場合、行政から改善命令が下されます。
そして、それでもなお適切な対処を行わなかった場合、改善命令違反として3年以下の懲役、もしくは1千万円以下の罰金、またはその両方が課せられることを覚えておきましょう。
なお、懲役刑については裁判所の判断によって執行猶予となる可能性もありますが、悪質性が認められた場合は実刑判決となるリスクも十分に考えられます。
PRTR法や化管法ではPCB処理の手順やPCB廃棄物の取り扱いについて、各事業者や段階において適切な届出を義務づけています。
例えばPCB廃棄物を保管している事業者については、毎年度の継続義務として、対象となるPCB廃棄物の保管や処分状況に関して都道府県知事や政令で定める市の市長へ届出を行わなければならないとされており、この届出を行わなかった場合や虚偽の届出を行った場合は刑事罰が科せられる点に注意してください。
なおPCB廃棄物の保管状況や処理について届出を行わなかったり、虚偽の届出を行ったりした場合、その者に対しては6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されます。
PCB処理やPCB廃棄物に関する罰則としては、期限内の適切な処理や届出について定めているものの他に、不法投棄や無許可業者による処理といった不正行為に関する罰則も存在しています。
PCB廃棄物の不法投棄については厳しい罰則が規定されており、また個人と法人によって罰則が異なっていることも特徴です。
個人がPCB廃棄物の不法投棄を行った場合、5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。なお、法人に対しては3億円以下の罰金という罰則が別に設けられている点にも注意してください。
PCB処理やPCB廃棄物の取り扱いについては適切な許可を取得している事業者に委託しなければならず、許可業者を除いていかなる者であってもPCB廃棄物などを譲り受けることができません。もし無許可の事業者がPCB廃棄物を譲り受けた場合、3年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
なお、無許可業者が処理を行う場合、その他にも保管状況の届出に関する義務違反や不法投棄など関して問題となる可能性もあるでしょう。
無許可業者は不適切な業者へPCB処理を委託した場合、その業者だけでなく処理を委託した者にも罰則が用意されていることも重要です。
無許可収集業者など基準不適合な業者へPCB処理などを委託した場合、5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
PCB廃棄物については法的に適切な保管や管理が義務づけられており、例えば管理責任者の選任といった業務もそのひとつです。
PCB廃棄物の保管や管理について適切な管理責任者を選任しなかった場合、適正な保管が行われていないとされ、事業者に対して改善命令が下されることになるでしょう。
なお、改善命令に違反した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
PCBの取り扱いについて承継の届出内容に不正があったり、虚偽の届出を行っていたりした場合、または検査や収去の拒否・忌避・妨害などを行った場合、30万円以下の罰金が科せられます。
環境省「PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」(https://www.env.go.jp/recycle/poly/manual/index.html)
環境省|PCB廃棄物を保管する事業者に課せられる規制(http://pcb-soukishori.env.go.jp/about/regulations.html)
大阪府|PCB廃棄物に係る法律等について(https://www.pref.osaka.lg.jp/o120060/jigyoshoshido/pcb/pcb-penal.html)
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
引⽤元:オオノ開發 https://www.ohno-as.jp/frep/
全国
※日本各地に支店あり
(東京、大阪、福岡、愛媛)
引⽤元:クレハ環境 https://www.kurekan.co.jp/treatment/iwaki.html
北海道、東北、関東、東海
引⽤元:エコシステム秋田 https://www.dowa-eco.co.jp/EAK/pub
公式サイトに記載無し
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い