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解体工事の際に発生する変圧器やコンデンサー、蛍光灯安定器、水銀灯安定器等の電気機器には、PCBを含む絶縁油が使用されている恐れがあります。解体工事する際は、これらの電気機器が設置されている受配電設備・機器を必ずチェックし、PCBの使用または混入の有無を確認するようにしましょう。
建物解体の工事でPCBを含んでいる恐れがある電気機器を取り扱う際は建物所有者に連絡し、製造メーカーに確認または分析でPCBが使用・混入していないかの確認を行います。確認方法としては、まず機器の銘板に記載されている製造者名・表示記号等をもとに、PCB使用の製品かどうかを製造者のHPまたは製造者に直接確認します。
製造者への照会の結果、PCB混入の可能性を否定できない場合、建物所有者は処分前に1台ごとの絶縁油中のPCB含有量を分析しないといけません。分析結果でPCB含有量が0.5mg/kg以下であれば、PCB廃棄物に該当しない機器として取り扱えます。
PCB廃棄物に該当する電気機器の処理責任は建物所有者にあるため、解体業者が所有者に代わって保管・処分することはできません。また、PCB特措法によってPCB廃棄物の譲渡・譲受は禁止されているので、建物解体の工事が完了したらPCB廃棄物は建物所有者に引き渡す必要があります。
PCB含有量の分析がまだ行われていない電気機器についても、PCB廃棄物でないことが判明するまでは建物所有者が適正に保管しないといけません。解体業者に工事と合わせて保管または処理をお願いすることはできないので、所有者自身で保管の手続きや低濃度PCB処理業者に依頼する必要があります。
PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物に該当し、保管事業者には「特別管理産業廃棄物管理責任者」の設置や掲示板の表示等が義務付けられています。また、PCB廃棄物の保管・処理状況について、都道府県知事へ毎年届け出を行わないといけません。虚偽申告または届け出を行わなかった場合、懲役や罰則が課される恐れがあるので注意しましょう。
PCB廃棄物は、以下の点に注意して保管する必要があります。
高濃度PCB廃棄物が発見された場合、処分期間が令和3年3月末で終了しているため、建物所在地の自治体へ速やかに連絡しましょう。低濃度PCB廃棄物については処分期間が令和9年3月末までのため、環境大臣や都道府県等から認定を受けた処理・運搬業者に依頼する必要があります。
業者によっては処理できるPCB廃棄物に制限があるため、事前に処理が可能か相談しておきましょう。
PCB廃棄物はできるだけ早く処分することを国が求めており、処分費が年々高額になっていくことも発表されています。そのため、PCB廃棄物の処理費用を少しでも抑えるなら、早めに処分することが重要です。
低濃度PCB廃棄物の処分費用は業者によって異なるため、複数の業者に見積を依頼し、費用を安く抑えられる業者に依頼するという方法もあります。また、PCB廃棄物の処理には補助金・助成金が設けられているので、処分費用を安く抑えるなら補助金・助成金を利用する方法がおすすめです。
変圧器から抜油した状態のトランス等の処理を委託しても問題ありません。ただし、PCBを含む絶縁油を抜油・差し替える場合は、環境省の「PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」や厚生労働省の 「PCB廃棄物の処理作業等における安全衛生対策要綱(平成17年2月)」などの内容に沿って行うようにしてください。
また、対象機器から事前に抜油する場合、PCBを含む絶縁油やトランスの搬入時期を処理施設での受け入れ可能時期のタイミングに合わせる必要がある点に注意が必要です。
PCB廃安定器等の分解・解体を保管者側が行うことは、高濃度PCBが漏出・揮散する危険性があるため、法律で原則禁止されています。ただし、コンデンサの形状及び性状に変化が生じておらず、一定の要件を満たすコンデンサ外付け型安定器であれば、保管者側でコンデンサーを取り外すことが例外として認められています。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い