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カネミ油症事件

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カネミ油症事件とは

カネミ油症事件とは、昭和43年(1968年)に発生したPCB(ポリ塩化ビフェニル)に起因する大規模食中毒事件です。食中毒事件として日本の現代史でも最大級とされる大事件であり、発端は福岡県北九州市にあった会社「カネミ倉庫」が製造したライスオイル(米ぬか油)でした。

カネミ油症事件は、カネミ倉庫社が製造したライスオイルへPCBが混入していたことで、そのライスオイルを摂取した人々が様々な皮膚症状や倦怠感、食欲不振などの食中毒症状を発症したという事件です。

このカネミ油症事件によって社会的にPCBの危険性やPCB処理の必要性が強く認知されるとともに、平成24年(2012年)には改めて「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」が施工されて今なお続く被害者救済の取り組みにも影響しています。

カネミ油症の症状

カネミ油症事件によって発生した食中毒の被害内容は様々であり、例えば以下のようなものがあります。

皮膚症状は吹き出物や色素沈着、過剰な目やにといった症状が挙げられており、体内に関しては肝臓障害や心疾患、骨の変形など重要かつ深刻な症状で苦しんだ事例もあるようです。またそれらの影響によって倦怠感やしびれ、マヒ、突発的な意識喪失といった症状が現れることもありました。

加えて、これらの影響は本人だけでなくその子供にまで被害を及ぼしており、「病気のデパート」とすら呼ばれたカネミ油症は発生から半世紀以上経った現代でも被害者のいる問題です。

参考:【PDF】カネミ油症事件50年記念誌(https://www.city.goto.nagasaki.jp/s034/010/010/110/04kanemi50th.pdf)

いまだに続くカネミ油症の影響

被害の連鎖が続くカネミ油症

PCBによるカネミ油症の問題点として、大規模食中毒事件として多くの被害者(一次被害者)を生んだだけでなく、その子供など二次被害者を生んでいる連鎖性も挙げられます。

二次被害者はカネミ油症として政府の支援対象にもなっており、平成24年9月5日施行の「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」によって診断基準も見直されました。

現在の油症診断基準は以下のようになっています。

引用元:京都府|カネミ油症について(https://www.pref.kyoto.jp/shoku-anshin/doukyosinsei.html)

自治体による油症患者健康実態調査

平成25年から都道府県ではカネミ油症の患者の把握や調査研究のために、油症患者の病状や生活実態、治療内容などを調べる「健康実態調査」が毎年実施されています。

参考:厚生労働省|令和5年度のカネミ油症に係る検診の実施(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33589.html)

現在も病気と戦う人が多い

カネミ油症によって死亡した人は多く、悲惨な事故として社会的なPCB処理に対する意識改革へつながったことは事実ですが、同時に現在進行形でカネミ油症と闘いながら生活している人も少なくありません。

事実、2019年3月末現在の報告によれば死亡者を含めてカネミ油症の患者数は2,329人と認定されており、さらに潜在的患者(未認定患者)については1万人を超えるという指摘もあります。

参考:【PDF】カネミ油症事件50年記念誌(https://www.city.goto.nagasaki.jp/s034/010/010/110/04kanemi50th.pdf)

へその緒プロジェクト

2024年1月、カネミ油症のドキュメンタリー映画を撮影している制作委員会が、油症の被害者の子や子孫のへその緒に残留している有害物質の濃度などを調べる「へその緒プロジェクト」を始動させました。

これはカネミ油症の事件の悲惨さを改めて見直すとともに、治療法や予防法の研究にも寄与するとされています。

参考:朝日新聞|子や孫へ影響探る「へその緒プロジェクト」 カネミ油症の映画製作委(https://www.asahi.com/articles/ASS1W42RCS1TTIPE009.html)

悲劇を繰り返してはいけない

PCBの危険性やPCB処理の重要性について、カネミ油症事件のような現実に起きた悲劇が根底にあることを意識しておくことが重要です。

カネミ油症は過去の産物でなく現在進行形の被害であり、改めて同じ悲劇を繰り返さないためにもPCB処理を適正化していくようにしましょう。

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