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高圧コンデンサは、電気を蓄えたり放出したりする電子部品のことです。コンデンサが機器の中で以下の働きを果たすことで、電子機器がショートせずに動くようになっています。
高圧コンデンサは、流れる電力の遅れをカバーする変電装置としてキュービクルや受電所などによく設置されています。受変電設備や個々の負荷に並列接続し、負荷を下げることで施設内で電気が使用できます。
コンデンサ内の絶縁油は直流電流を通さないための役割を担っていますが、この高圧コンデンサの絶縁油は製造時期によって低濃度PCBが使用されている可能性があります。
高濃度PCBが高圧コンデンサに含まれている場合は、機器に付けられた鉄板で確認できます。一方、低濃度PCBが含まれているかの判別は、鉄板の製造年月日で確認します。1991年以降に製造された高圧コンデンサにはPCBが使用されていないので、機器の鉄板の製造年月日を確認します。もし該当するならば、絶縁油を採取して分析して調べることで判別可能でしょう。
高圧コンデンサに低濃度PCBが含まれていると分かったら、低濃度PCBの処理が可能な施設を探すことになります。低濃度PCBの処理を行うことができる施設は、国の認定又は都道府県の許可を受けていることが前提になります。そのために、低濃度PCBの処理が可能な施設を探します。低濃度PCBの種類と量をもとに、見積もりをお願いします。また、低濃度PCB処理施設までの収集運搬も許可を受けた業者のみ可能なので、自社から収集・運搬、処分までの経路を確認し、法令を遵守し低濃度PCBの処分を行います。ここで、最終処分までが自社の責任になることに注意する必要があります。
コンデンサやトランスといった電気機器の内部からPCBを除去・抜油したとして、その時点ではまだPCBの残留物が機器の容器や部品に付着している状態であり、対象となるコンデンサなどもPCB汚染物として扱わなければなりません。
ここではPCB汚染物となっているコンデンサの処理方法として適したものを紹介します。
機械的エネルギーによって化学反応を生じさせる「メカノケミカル反応」を利用して、試薬と機械的エネルギーを使った粉砕操作を付与することでPCBを非加熱分解する方法が、機械化学分解です。具体的には有機塩素化合物と生石灰をまとめて密閉容器に封入し、塩素と生石灰の化学反応によって塩化カルシウムなどに変化させてPCBを除去します。
処理対象物となるコンデンサの容器や部品を、千数百度以上の高温で熱して溶融分解する処理方法です。有機物は分解・ガス化され、無機物は金属体やガラス固化体として変化します。
溶融分解はコンデンサなどの電気機器だけでなく、PCB汚染土壌や廃棄プラ、紙くず・木くず・陶磁器くずなど様々なPCB汚染物の処理に用いることができます。
コンデンサを各パーツに分解した上で、それぞれの部品を専用の溶剤で洗浄してPCBを除去する方法です。洗浄後の溶剤は回収してPCB除去処理が施され、再び洗浄用溶剤として再利用されます。
解体できない電気機器や複雑な構造を有するものには適しませんが、分解・洗浄を行えるコンデンサなどであれば洗浄によってPCBを処理することが可能です。
PCB汚染物を真空加熱炉に入れて、熱エネルギーによりPCBを蒸発させてコンデンサとPCBを分離させる処理方法です。PCBは高温下で気化するため複雑な構造を有するコンデンサなどでも採用することができます。
また電気機器の容器はスクラップとして再利用することが可能であり、PCBは液体として回収された後に化学処理によって無害化されます。
ここでは、PCB含有の高圧コンデンサが発見された事例についてご紹介します。
低圧進相コンデンサの処分にあたり、微量PCB含有の可能性について調査していたところ、休止設備に古い高圧コンデンサを発見。メーカーに問い合わせたところ、高濃度PCB機器であることが判明しました。
空き家の建物解体を計画中に建屋の内部を調査したところ、2階の電気室内で接続された高濃度PCB高圧進相コンデンサが発見されました。木床が腐食して大変危険であったことや電気室前にアスベスト含有の石こうボードが山積みされていたため、建物を解体する際に搬出しました。その後は自治体での継続保管となっています。
このように、古い建屋の中にはPCB含有の高圧コンデンサが未だに放置されているケースがあります。
高圧コンデンサのPCB処理の費用は、様々になりますが、一般的にPCB処理費用は高額だと言われています。PCBが含まれる高圧コンデンサの量や最終処分までの方法等、様々な処理費用の要因が考えられ、国の認定又は都道府県の許可を受けた低濃度PCB処理施設に問い合わせましょう。
例えばJESCOでは高圧・低圧コンデンサは種類に限らず、1kgあたり30,240円が処理料金として設定されていますが、10キロ以上の高圧コンデンサの場合、1台あたりの総重量(kg)ごとに料金が変動します。kg未満は切り捨てされるため、正確な料金を知るには処理料金の見積もりが必要です。高圧コンデンサの処理費用だけでなく、他にも運搬費用やPCB油類の処理費用も加算されます。中小企業の場合、補助金制度などを活用するのをおすすめします。
低濃度PCBの場合、民間の無害化認定処理施設で処分できますが、高濃度PCBが含まれているものはJESCOでないと処理が認められていません。
低濃度PCB処理の依頼先の選び方は、費用とリスクを考慮して決めることが大切になります。なぜなら、いくら費用が安くても低濃度PCBの処理を業者が不適切に処理したとしたら、その責任は依頼をした会社が負うことになるからです。基本的に最終処分までの責任は依頼をする会社で、低濃度PCB処理業者ではないのです。そのことを踏まえたうえで、自身の会社からの収集・運搬、最終処分までのルートを考え、処理費用の見積もりを取る必要が出てきます。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い