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課電自然循環洗浄法とは

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課電自然循環洗浄法とは

課電自然循環洗浄とは、微量PCBを含む変圧器中の絶縁油を新油に入れ替え、通電することで無害化する方法です。
通電は通常90日間ですが、PCB濃度が5㎎/㎏超~10㎎/㎏以下の場合は120日間行います。使用中の変圧器を廃棄処分せずに無害化して継続使用できるため、処理費用を低コストで抑えることができます。

なお、手順書に基づいて機器の課電洗浄が適正に完了した場合、PCB含有電気工作物廃止届出の提出など所定の手続きを行います。手続きにより課電洗浄完了機器は「電気事業法に規定するPCB含有電気工作物」「PCB特措法に規定するPCB廃棄物等」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定するPCB廃棄物等」のいずれにも該当しないものとしてみなされます。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

課電自然循環洗浄の方法

課電自然循環洗浄法_フロー

引用元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf

  • 洗浄する変圧器を電路から外さずに、微量PCB汚染油を十分に抜き出します。(変圧器を電路から外してしまうと再接続できないため注意)
  • PCBを含んでいない新しい絶縁油を充填する
  • 新しい絶縁油を充填したのち、もともと含まれていた含まれていた油のPCB濃度に応じた日数の通電を行う。課電・通電によって部材が発熱するため絶縁油が対流する。PCB残留油が部材から染みだすことでPCB濃度が平均化します。
  • 絶縁油のPCB濃度が0.3mg/kg以下になれば洗浄処理が完了します。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

対象となる機器

課電自然循環洗浄法_対象機器

引用元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf

対象となる機器の前提条件は、「使用中の変圧器であること」のほか、「絶縁油のPCB濃度が10mg/kg以下であること」「銘板絶縁油量2,000L以上であること」です。
また、洗浄可能部位については、初回の課電洗浄前の絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kgを超え 10mg/kg以下である以下の部位が対象です。

  • 変圧器本体(共油型ブッシングを含む)
  • LTC及び浄油機
  • エレファント
  • 感温部
  • 中間室(開閉器との接続部)

未洗浄や濃度超過、未測定の洗浄可能部位が残っている場合でも、測定によって絶縁油中のPCB濃度が5mg/kg以下と判明している部位は洗浄できます。
なお、密閉型などの共油型以外のブッシングは洗浄できません。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

実施時の流れ

  • 対象要件確認
    洗浄処理したい変圧器が対象機器・洗浄可能部位であることを確認します。
  • 事前手続き
    実施計画書を作成し、消防法等の関係法令手続きを行います。
  • 洗浄可能部位の抜油作業を実施
  • 洗浄可能部位へ新油を注油する
  • 課電洗浄開始
    90日間あるいは120日間(PCB濃度が5㎎/㎏超~10㎎/㎏以下の場合)の通電を行います。
  • 絶縁油中のPCB濃度を分析
    油中濃度が0.3mg/kg以下の場合は洗浄処理が完了します。0.3mg/kg以上の場合は再洗浄手続きを行ってから洗浄可能部位の抜油・新油の注油・課電洗浄を実施します。
  • 洗浄実施報告書の作成
    未洗浄や濃度超過、未測定の洗浄可能部位がある場合は、「電気事業法上のPCB含有電気工作物等の変更届出」を提出し、PCB含有機器として使用します。なお、未洗浄・未測定の部位も洗浄したい場合は対象要件確認から実施します。
    また、未洗浄や濃度超過、未測定の洗浄可能部位がない場合は、「電気事業法上のPCB含有電気工作物等の廃止届出」に洗浄実施報告書を添付して提出します。洗浄完了機器はPCB非含有機器として継続使用できます。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

元油PCB濃度と課電期間

  • 元油PCB濃度0.5超~5以下(mg/kg):課電期間90日間以上
  • 元油PCB濃度5超~10以下(mg/kg):課電期間120日間以上

情報引用元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

課電自然循環洗浄のよくある質問

Q1. 課電洗浄実施計画書の様式、提出先、提出期限は?

実施計画書については任意の様式で作成可能です。事前提出の必要はありませんが、適切な洗浄が行われたことを担保するため保管しておきましょう。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

Q2. 課電洗浄完了報告書の様式、提出先、提出期限は?

完了報告書は実施計画書の文末に添付されている様式で作成します。洗浄後は遅滞することのないよう「PCB含有電気工作物の廃止又は変更届書」に「課電洗浄完了報告書」を添付し、該当エリアの産業保安監督部まで提出しましょう。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

Q3. 課電洗浄中に、一時的に課電を停止した場合、洗浄期間はどうなる?

課電洗浄中に課電を一時停止した場合は、停止していた期間を除いた実課電期間を90日間または120日間確保する必要があります。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

Q4. 1回目の洗浄で濃度が下がらないと予想される場合、所定の課電期間を待たずに新油に入れ替え、再洗浄を行うことは可能か?

初回洗浄時に洗浄対象や濃度条件を満たしている・2回目以降も所定の事前手続きを行う・90日以上あるいは120日以上通しの洗浄期間を確保するという条件を満たせれば途中で油を入れ替えることが可能です。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

Q5. 洗浄完了の基準はなぜ0.3mg/kgなのか?

実証試験結果により、「洗浄後の絶縁油濃度が0.3mg/kg以下であれば部材がPCB特措法における処理基準以下になる」とされています。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

Q6. 洗浄の実施にあたり、特別な資格は必要か?

課電洗浄の実施に特別な資格は必要ありません。ただし対象機器の取り扱いに習熟している人が実施し、抜油作業時には電気主任技術者及び特別管理産業廃棄物管理責任者双方の監督のもと行う必要があります。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

Q7. 対象機器から抜いた後の、低濃度PCBを含む絶縁油は、どのように取り扱うのか?

抜油した絶縁油は低濃度PCB廃棄物として扱われます。そのため、無害化処理認定施設などへ委託して処理する必要があります。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

Q8. 絶縁油量2,000L未満の機器はなぜ対象ではないのか?

対象機器の要件については実証試験に基づいて決められており、現時点では2,000L未満の機器の安全な無害化が確認できていません。

情報参照元:経済産業省「課電自然循環洗浄について」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/pcb/downloadfiles/07.pdf)

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※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い