公開日: |更新日:
課電自然循環洗浄とは、微量PCBを含む変圧器中の絶縁油を新油に入れ替え、通電することで無害化する方法です。
通電は通常90日間ですが、PCB濃度が5㎎/㎏超~10㎎/㎏以下の場合は120日間行います。使用中の変圧器を廃棄処分せずに無害化して継続使用できるため、処理費用を低コストで抑えることができます。
なお、手順書に基づいて機器の課電洗浄が適正に完了した場合、PCB含有電気工作物廃止届出の提出など所定の手続きを行います。手続きにより課電洗浄完了機器は「電気事業法に規定するPCB含有電気工作物」「PCB特措法に規定するPCB廃棄物等」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定するPCB廃棄物等」のいずれにも該当しないものとしてみなされます。
対象となる機器の前提条件は、「使用中の変圧器であること」のほか、「絶縁油のPCB濃度が10mg/kg以下であること」「銘板絶縁油量2,000L以上であること」です。
また、洗浄可能部位については、初回の課電洗浄前の絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kgを超え 10mg/kg以下である以下の部位が対象です。
未洗浄や濃度超過、未測定の洗浄可能部位が残っている場合でも、測定によって絶縁油中のPCB濃度が5mg/kg以下と判明している部位は洗浄できます。
なお、密閉型などの共油型以外のブッシングは洗浄できません。
実施計画書については任意の様式で作成可能です。事前提出の必要はありませんが、適切な洗浄が行われたことを担保するため保管しておきましょう。
完了報告書は実施計画書の文末に添付されている様式で作成します。洗浄後は遅滞することのないよう「PCB含有電気工作物の廃止又は変更届書」に「課電洗浄完了報告書」を添付し、該当エリアの産業保安監督部まで提出しましょう。
課電洗浄中に課電を一時停止した場合は、停止していた期間を除いた実課電期間を90日間または120日間確保する必要があります。
初回洗浄時に洗浄対象や濃度条件を満たしている・2回目以降も所定の事前手続きを行う・90日以上あるいは120日以上通しの洗浄期間を確保するという条件を満たせれば途中で油を入れ替えることが可能です。
実証試験結果により、「洗浄後の絶縁油濃度が0.3mg/kg以下であれば部材がPCB特措法における処理基準以下になる」とされています。
課電洗浄の実施に特別な資格は必要ありません。ただし対象機器の取り扱いに習熟している人が実施し、抜油作業時には電気主任技術者及び特別管理産業廃棄物管理責任者双方の監督のもと行う必要があります。
抜油した絶縁油は低濃度PCB廃棄物として扱われます。そのため、無害化処理認定施設などへ委託して処理する必要があります。
対象機器の要件については実証試験に基づいて決められており、現時点では2,000L未満の機器の安全な無害化が確認できていません。
なんとなく近隣の産廃業者を選びがちですが、期限や予算組みを考えると、短期間で確実に処理を完了させられる可能性の高い事業者への依頼がおすすめです。
その指標として、処理能力の高い業者(グループ単位)上位3社(※1)をピックアップしました。低濃度PCB処理における「ビッグスリー企業」への依頼を視野に入れ、スムーズにPCBの廃棄を完了させてしまいましょう。
※1 2021年3月時点、当サイト調べによる。PCB廃油・処理物の1日あたり処理量が最も多い企業およびグループ
※2 2021年3月時点、当サイト調べによる。処理場ひと施設あたりのPCB廃油・処理物の1日あたり処理能力が最も高い